愛読書「となりの億万長者」その2-姉妹本の紹介

皆様、こんにちは。にこいちです。

 

「となりの億万長者」いかがでしたか?インデックス投資仲間では、Sayasayanさんや、セルリアンさんの旦那様シデさんが書評を書かれてます。また有名どころでは、両学長がYoutubeで紹介されています。そろそろ読みたくなってきたでしょう?

 

さて「となりの億万長者」に関連して、スタンリー博士が書かれた姉妹本が何冊か出ています。今日は、その姉妹本のご紹介をしようと思います。

 

1.「1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました」(Millionaire Mind)(文響社

(1)概要

 2000年箸、2001年日経新聞社日本語訳「なぜ、この人たちは金持ちになったのか 億万長者が教える成功の秘訣」を加筆・改編したもの。前著「となりの億万長者」は純資産100万ドル以上1000万ドル未満の金持ちが調査対象だったが(平均資産額370万ドル)、本箸では100万ドル以上の資産を持つ全ての金持ちが調査対象となっている。そのため、スーパーリッチの回答が交じり、全体の平均値を押し上げている(平均資産額920万ドル)。

 

経済的に成功するには、次の5つの要素が必要である。

①誰に対しても正直であること(誠実)

②自分で自分をコントロールすること(自己鍛錬)

③人とうまくやっていくこと(社会性)

④よい配偶者の支えがあること

⑤ふつうの人より一生懸命に働くこと(勤勉)

(2)感想

・「となりの億万長者」が主に小話形式だったのに対し、「1億円貯める方法」は「となりの億万長者」の内容をより深堀するようなアンケート結果やコメントを紹介することが多い。そのため「となりの億万長者」を先に読んでいないとやや読みにくい内容となっている。また、「となりの億万長者」が346頁であるのに対し、「1億円貯める方法」は434頁と厚く、これも読むのにためらう一要因と思われる。

・作家・橘玲氏が序文を寄稿している。この序文は10頁で「億万長者になるのは簡単だった!」などと興味を刺激する内容となっているので、まずはこれを読んで面白いと思った人が読み進むと良いと思う。

・世間の常識"金持ちは派手な生活をしている"を覆すスタンリー博士の手腕は本箸でも如何なく発揮されている。たとえば、億万長者は学校の成績はよくないことが多い(それよりも精神力やリーダーシップにまさっている)、進んでリスクを負い失敗からの回復力がある、配偶者の選び方がうまく長くよい家庭環境を維持している、家計支出の抑制がうまく買い物上手である、など。

・個人的には、「金持ちになるための配偶者の選び方」が面白かった。特に「金持ちが結婚相手に求める五つの要素」。ざっくりいうと、外見をあまり重視しすぎず一定の性格を重視したほうがいいよ、という内容。結婚相手になる人をどう選ぶかは人それぞれだけど、これから結婚するかもしれない人は読んでおくと参考になるんじゃないかな?

 

2.「女性ミリオネアが教えるお金と人生の法則」(Millionaire Woman Next Door)(日本経済新聞社

(1)概要

・2004年箸、同年3月日本語訳発行。「となりの億万長者」「1億円貯める方法」のアンケート結果が主に男性億万長者に対するアンケートだったのに対し、女性の億万長者を対象にしたアンケートをまとめたもの。

・女性の億万長者のほうが男性の億万長者より、さらに質素で目立たない生活を好み、また、寄付も多い。

(2)感想

 ・「女性の億万長者は、(なぜか)最初のオトコ選びに失敗することが多い」というくだりが面白かった。私の周りでも、高収入で外見もよいのになぜかお付き合いする男性が・・・というパターンをかなり多数お見受けします。こういう”デキのよい”女性の悩みは、意外とアメリカでも日本でも変わらないのが驚き。

・なお、2021年の雑誌フォーブスの金持ちランキング(Forbs、Billionaire Ranking)では、1位から11位までは男性で12位にようやく女性が出てくる、100位以内に女性は14人しかいないという結果になっています。うち3人は中国人だけど日本人は当然ながらゼロです。夢がないなあ。

 

www.forbes.com

 

3.「お金が“いやでも貯まる”5つの生活習慣」(STOP ACTING RICH: And Start Living Like A Real Millionaire)(イースト・プレス

(1)概要

・2005年10月から2006年6月に5000世帯を対象に実施されたアンケートの結果をまとめたもの。2008年のリーマンショック後の2009年に刊行され、同年11月に日本語訳が発行されました。

・日本語への翻訳者は、「ユダヤ人大富豪の教え」等の著者本田健氏です。文章は読み易くてよい翻訳でしたが、ところどころ強調したい部分を赤文字にされていたのがあまり趣味に合いませんでした(本は自由に読みたい派)。

・「となりの億万長者」「1億円貯める方法」をさらに深め、真の億万長者の行動を具体的に明らかにしています。例えば、億万長者は自分のスーツに299・5ドル(約3万円)以下しかかけない、ロレックスを買う人は少なく安物のセイコーを愛用する、高級酒(高級スコッチや高級ワイン)は飲まない、ポルシェやフェラーリなどの高級車は買わない、別荘は持たない、など。

(2)感想

・最後に「となりの億万長者」の読者であるお金持ちとスタンリー博士との書簡のやりとりが収められている。読者は「富の蓄積は究極の目的ではないし、人生のすべてではない」「高級車や高級スーツが高いのは品質がよいからである」「バラの香りを楽しまず(人生を楽しまず)に死んでしまったら後悔する」とスタンリー博士に異議を唱えます。スタンリー博士は「バラの香りを楽しむためには、つまり人生を満喫するためには高級ブランド品を買う必要があると信じている人が、あまりにも多すぎます」「そうした消費と幸福にはほとんど相関関係がありません」「私たちは『スター』と呼ばれる種類の人々の価値観ではなく、実際に成功している人々の大半が抱く価値観を導入すべきです」と反論します。スタンリー博士の主張はこの書簡に詰まっているように感じました。

・私はスタンリー博士ほど達観していないので、高級品についてはたまには試してみたらいいのではないか、と思う派です。無理のないところで、様々な値段の高級バッグや高級車をリースで試してみるとか、年に1度は高級レストランに行くとかはどうでしょうか?何回か試すと「限界効用逓減の法則」というのだと思いますけど、一定の金額を超えるとそれ以上の金額を出した場合と比較して満足度がそれほど増えないことに気がつくと思います。例えば、フランス料理のコースでいうと、私には1万円も出せばめちゃ高級品で、それ以上のお金を払う価値はあまり感じませんし、高級品を出す店に行くための服や靴を持っていません。ゆえに、高額の飲食のお誘いがあっても基本お断りしちゃうと思います。それよりも、誰と一緒に食事を楽しむことや食事のバラエティーのほうが大切。家族や友達など、会話が弾む人と食事をしたいし、家では食べられない手の込んだ料理や珍しいものを食べたいですね。

・スタンリー博士がお書きになった本のうち、日本語訳で発行されたものは本箸が最後になります。これ以外に、スタンリー博士はこの本以降、スタンリー博士は興味の方向を変えられたのか、金持ち相手の商売の方法を教えるような本を数冊出版されているようです(Networking with the Affuluent、Selling to the Affuluent、Marketing to the Affuluent、Networking with Millionaires)。アメリカのお金持ち相手の商売を考えていらっしゃる方には参考になるかもしれません。

 

スタンリー博士は残念ながら2015年2月28日に飲酒運転に巻き込まれて亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします(R.I.P.)。娘のサラ博士がスタンリー博士の資料をまとめ、新しい資料を加えて作成した著書「その後のとなりの億万長者」(The Next Millionaire Next Door)(パン・ローリング社)が2021年2月に発行されています。この本、大部な割(473頁)に目次が抽象的すぎてあらすじを掴むことができないため、よほどの好き者でないと勧めにくいです。出版社がパン・ローリングさんというところから見ても、高度な読解力を持つ投資家向けの論文的な位置づけの本なのでしょう。

 

それでは、また!