借金嫌いの私が唯一利用する借金は「貯金担保自動貸付け」

皆様こんにちは、にこいちです。今日は、私が唯一利用する借金について書いてみたいと思います。

 

1.借金嫌いの理由

その昔、私の実家は超貧乏でした。私が4歳のころに父親が仕事を辞めてしまい、7年間無職でお金がなかったのです。母が内職をしてわずかな現金収入を稼いでいましたが、焼け石に水。ほとんどの生活費は母方の祖父から出してもらっていました。

今でも目に焼き付いているのは、私が10歳のころ、子供達が寝静まった夜に、父と母がヒソヒソ声で

母「明日のお米がないんだけど、どうしよう?」

父「うーん・・・」

と会話を交わす姿。

折あしく、そのころ、テレビのニュースでは「サラ金問題」が取り上げられていました。夜逃げした一家の自宅マンションのドアにベタベタと貼られた「金返せ」「ドロボー!」「逃げるな」「死ね」等の張り紙は今でもはっきり覚えています。文字のいくつかは赤いマジックで殴り書きされていて、おどろおどろしく、子供だった私は大層おびえたものです。

「夜逃げってどうやってやるのかな?」「学校に行っている間に私だけ家に置いていかれて、他の皆が『夜逃げ』をしたら、私はどう生きていけばいいのだろう?」なーんてことをつらつらと考えている暗い小学生時代でした。

なので、借金は身震いするほど嫌い。どうしても子供のころの気持ちを思い出してしまいます。

 

2.それでも借金する理由

そんな私も、今までに数回、やむなく借金したことがあります。次のアルバイト代や給料が入るまでに大きな出費(例えばダブルスクールの費用など)があって、手元に現金がない場合でした。1回当たり3~5万円位です。

このとき使ったのが、ゆうちょ銀行の「貯金担保自動貸付け」です。

 

3.ゆうちょ銀行の「貯金担保自動貸付け」とは

(1)概要

ゆうちょ銀行で総合口座を作ると、通常貯金とセットで定額貯金や定期貯金を申し込むことができます。通帳の前のほうのページは通常貯金のページ、後ろのほうのページには、定額貯金や定期貯金が記入されることになります。

 

通常貯金の残高が足りない場合に、このセットで申し込む定額貯金や定期貯金を担保にして、不足分を自動的に貸し付けてくれる制度が「貯金担保自動貸付け」です。

 

例えば、通常貯金の残高が1万円、定額貯金が5万円あり、2万円を引き出したい場合には、通常貯金から1万円引かれ、残りの1万円は定額貯金を担保にしてお金が貸し付けられます。この場合、ATMからは2万円が払い出され、ここは普通の引き出しと何ら変わりがありません。しかし、通帳上の通常貯金の表記は「-10,000」になり、1万円の借入に対し利息を付けて返済しなければならないこととなります。

 

貸付の際の審査はありません。借金で得たお金の使い道は何でもOKです。特別なカードを作成する必要はなく、普通のキャッシュカードでのお金の出し入れでOKです。

 

(2)貸付金額の上限

貸付金額の上限は、預入金額の90%以内。すなわち、定額貯金が100万円あっても90万円までしか借り入れられません。

 

また、1冊の総合口座通帳につき300万円までです。300万円を借りたければ、333万3333円以上(定期も定額も1000円単位なので、実際には333万4000円以上)を預け入れる必要があります。

 

(3)貸付期間

貸付けの日から2年。

ただし、貸付けの日から2年以内に担保とする貯金が満期を迎える場合は、その満期までの期間となります。

また、元利金継続の担保定期貯金を担保とする場合は、貸付期間の範囲内で貸付けも継続されます。

 

(4)貸付金利

・定額貯金を担保とする場合:返済時の約定金利(%)+0.25%

・定期預金を担保とする場合:預入時の約定金利(%)+0.5%

※1年を365日とする日割計算

 

※担保となる定期・定額貯金が2口以上ある場合、どのような順番で担保となるか

①貸付期間が最も長いもの(1番新しく定額・定期貯金にしたものから順に遡って担保になる)

②貸付金の金利が最も低いもの(①貸付期間が同じ場合には、1番利率が低い定額・定期貯金から順に高い方に遡って担保になる)

③個別番号の大きいもの(①②が同じ場合)

 

例えば、

1  24-4-20 0.04%    50,000円 定額貯金

2  27-5-20 0.04%   100,000円 定額貯金 

3  4-1-20  0.002%  100,000円 定額貯金

の複数の定額貯金がある場合に、15万円を借り入れるとどうなるか。

一番最近に預けられた3番が最初に担保になります(9万円分、貸付の利率は年率0.252%、1年当たり約227円、2年で454円)。

次に、2番が1番よりも先に預けられているため、次に担保になります(6万円分、貸付の利率は0.29%、1年当たり174円、2年で348円)。

 

(5)返済の方法

借り入れた金額と利子に相当する額を、通常貯金に預け入れることで自動的に返済ができます。特別な手続きはありませんし、特別なカードを作る必要もありません。また、貸付期間内であれば、返済回数や1回当たりの返済金額に制限はありません。

 

※担保となる定期・定額貯金が2口以上ある場合、どのような順番で返済されるか

①預り入れ期間が最も短いもの

②貸付金の金利が高いもの(①が同じ期間の場合)

③個別番号の小さいもの(①②が同じ場合)

例えば、

1  24-4-20 0.04%    50,000円 定額貯金

2  27-5-20 0.04%   100,000円 定額貯金 

3  4-1-20  0.002%  100,000円 定額貯金

の複数の定額貯金がある場合に、4-1-20に15万円を借り入れ、1年後の5-1-20に10万円を返済すると、どうなるか。

2番が1番よりも先に預けられているため、先に返済されることになります。2番を担保にした借金は6万円分で1年分の利息は174円であるため、合計6万174円が返済されます。10万円から6万174円を差し引いた3万9826円が1番を担保とした借入金に充てられることになります。1番を担保とした借入金には227円の利息がついているため、3万9826円のうち227円は利息に充てられ、残りの3万9599円が元本の返済に充てられることになります(注:貯金担保自動貸付に対する特別な規定が見当たらないため、民法491条によれば、費用→利息→元本の順に充当されるはずです)。

 

(5)貸付期間内(最大で2年)に貸付金及び利子が払えない場合、どうなるか。

担保とされた定期・定額貯金が強制的に解約され、その払戻金が返済に充てられ、残額が総合口座の通常貯金に振り込まれることになります。

 

(6)将来、貯金担保自動貸付けを利用することを前提にした場合、お金を預けるには定額貯金と定期貯金とどちらがよいか。

定額貯金です。貸付金利は定額貯金のほうが断然安いからです。郵便局の職員にも確認しましたが、定額貯金一択を勧められました。(そのため、以後「定額貯金」のみについて言及します。)

 

3.まとめ

(1)どんな人が利用するとよいか?

・お金が手元にあると使ってしまう人

→現金でお財布に入れていたり、普通預金に預けていると使ってしまう人は、定額貯金にして、自由に下せないよう心理的ハードルを作りましょう。使いすぎると通帳に-(マイナス)ばかりが並ぶのは、悪い通信簿ばかり受け取っている学生のようで、意外とこたえるものです。-(マイナス)を消そうと思うと、仕事でもう少し稼いだり、節約しようという力が出るかもしれません。

・自営業や成果型報酬のサラリーマンで収入が安定していない人

 →金融機関(銀行やサラ金)から借り入れする場合に、収入の安定していない人は嫌われます。貸してくれないか貸してくれるにしても低い金額を高い利率でしか貸してくれません。ですので、比較的よい収入を得たときにさっさとゆうちょ銀行で定額貯金を作っておき、借金をできる余地を設けておくとよいと思います。

・学生、アルバイトやパート、専業主婦など、収入が低い人

→そもそも収入が低いと、やはり金融機関から嫌われます。ゆうちょの定額貯金は1000円以上を単位としていますので、収入があったときにへそくりとしてちょこちょこ預けておくと、後で本当に困ったときに助かります。

サラ金トイチ業者などに個人情報を渡したくない人

→いったん貸付金業者に個人情報を渡すと、「新たな借入のご要望はありませんか?」などの営業電話、「期限までに返してください」などの督促電話や督促状等に悩まされることとなります。貯金担保自動貸付けにはそういうわずらわしさは一切ありません。

・保証人がいない人

→定額貯金が担保ですので、保証人は必要ありません。

 

(2)どんな場面で利用するとよいか?

最大でも借りられる期間が2年ですので、一時的な資金不足をカバーするのにいいと思います。生活費はもちろん、住宅ローンの不足分や教育費の不足分に回すことも可能です。また、金額と心にリミッターを設けながら、借入金を投資資金や事業資金に回すのはありかもしれません。返済できなかったとしても、定額貯金で預けてある金額以上は失わないので「信用二階建てで億単位の借金を負う」なんてことにはなりません。

(3)どんなことに注意すべきか?

郵便局のATMが開いている時間でないと、借入及び返済ができません。また、期限近くなっても督促はきませんので、返済スケジュールを自分で組み立てる必要があります。

 

以上、ゆうちょ銀行の「貯金担保自動貸付け」について書いてみました。

では、また!