【第59回 FIWAサムライズ勉強会】「新しいNISAの制度について徹底解説」のメモ

こんにちは、にこいちです。今日開催されたFIWAサムライズのオンライン勉強会「新しいNISA制度についての徹底解説」に参加しましたので、メモを公開します。なお、自分にとって難しくて理解できず、メモができなかった質問・回答は省きました。

 

1.金融庁・今井利友金融税制調整官からの概要説明
・一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAと3つで複雑だった。今回は1つだけ。
・一般NISAとつみたてNISAのハイブリッド型になった。
・従来、併用はできなかったが、今回は併用できるようになった。
・どちらの箱から使うか、どちらをどれだけ使うかは自分のライフプランに合わせて決められる。
・自由度の高い制度になっている。
・非課税は恒久化。
・非課税保有限度額は生涯で1800万円まで。
・買った金額の残高から売った金額の残高を引いた金額。簿価残高での管理。
・つみたて投資枠だけを使っても最大で1800万でいける。
・対象商品について、つみたて投資枠については今までどおり、インデックス投信が中心。成長投資枠については、①整理管理銘柄は除く、②少なくとも20年以上、③毎月分配型・高レバレッジはダメ。公募投信は現在5500本、そのうちインデックスが900本位。インデックス投信は800本位、アクティブ投信は1400本位残る。要するに6割がダメで4割が買える。

・対象年齢は18歳以上。つみたては18歳未満で交渉していたが今回は見送られた。
過去のNISAとは分離。非課税総額1800万円に今のNISAはカウントされない。今やっている人はずるいという声もあるが、そのとおり・笑。早く始めた人に上乗せがされることになる。

・古い制度から新しい制度に移管することはできない。例えば一般NISAの場合ロールオーバーがあったが古い制度からロールオーバーして新制度に移管することはできない。一般NISAは5年で売却することになるので5年という短期間だとマイナスになる可能性もある。よって来年始めるなら一般NISAよりつみたてNISAを始めるほうを勧める。

・新しい制度では枠の再利用制度があるため短期売買に使う人も出てくる可能性がある。そういう勧誘行為に対して監督をしていく予定。

・ジュニアNISAは2023年で終わり。18歳になるまで継続管理勘定に移す手続が必要。その手続きをしないと課税されるのはかわいそう。特段の手続きをしなくても自動的に移管されることとした。

 

2.質疑応答

Q:回転売買の監視・管理は誰が対象か?個人か企業か?
A:回転売買への勧誘行為(企業)を監視していく。トレードを行う個人を監視対象とするのではない。
Q:個人がデイトレードをできるのか?
A:枠(1800万円)の確認は年末に金融機関が国税庁に報告し、国税庁マイナンバーで名寄せ、把握する。1年間に買える金額はつみた最大で120万円、成長枠で240万円。毎日売買してすぐに枠が復活するわけではない。デイトレードをすればすぐに最大金額を使い切ってしまうだろう。だから実際にはデイトレードができるとまではいえないのでは。
Q:つみたてはどういう形でできるか?
A:年2回以上の積み立て。ボーナス併用も可能。

Q:新旧制度の分離の意味は?
A:今のNISA(非課税期間5年間)、つみたてNISA(非課税期間20年間)は残っていく。
Q:新規口座の開設が必要か?
A:今の一般NISAかつみたてNISAのどちらかを持っていれば、2024年に自動的に口座が開設されるよう財務省に依頼している。

Q:金融機関を今の口座とあえて分けることは可能か?
A:可能。今でも変更手続きがあり、途中でA証券からB証券に変えることができる。
Q:逆に二つを持つことはできるか。現在A証券を利用している人が新NISAはB証券とすることはできるか?

A:可能。
Q:つみたて投資枠と成長投資枠とで同じ商品を買うことはできるか?
A:可能。但し、正確にいうと、つみたて投資枠は最低2回に分けて買わなければならない。成長投資枠はそういう制約はないので一括で買うことができる。

Q:成長投資枠の信託期間20年未満の意味?
A:セットアップしたときに20年以上やりますよということであればOK。セットアップのときに25年と規定しすでに15年経過したようなものも買える。

Q:金融機関の変更はできるという話だったが新・旧は別の証券会社にすることはできるのか?
A:年をまたげば別の金融機関に変更することは可能。
Q:現在だと1月のつみたてが始まるとその金融機関を変えられないが10月ころに変える意思表示をすれば変えられる、それと同じように考えればいいのか?
A:YES

Q:成長投資枠でつみたて投資枠の商品が買えるのか?
→これは金融機関がどういうサービスをするかということ。我々としてはつみたてNISAは手数料が安い商品が多い。金融機関が赤字になる可能性もある。

Q:恒久化は、金融庁の口座開設数や金額などの目標数を達成しなかった場合も維持されるのか?
→YES
Q:債券ETFなどどちらかは誰が確認するのか?

A:証券会社がリストアップすべき。

Q:(売る期限を証券会社に教えてほしいというような質問)

A:いつ売るかは個人の選択。非課税期限前に売るという選択もありうる。

Q:途中でリバランスはできない前提か?
A:翌年、枠の再利用ができるのでそういうリバランスはできるが、即時のリバランスは見送られた。

Q:投資信託が途中償還になったり、個別株の会社が倒産したらどうなるか?枠はいつ復活するのか?
A:翌年に枠が復活する。
Q:アドバイザーになるための試験は考えているか?また、利益相反などの倫理規定などを設けたり、規定違反に対する罰則を設けることはあるのか?
A:来年新たな法律改正を考えている。
Q:途中で認知症になったりしたら管理はどうなるか?
A:税制とは関係ないのでお答えできる立場にはないが、例えば1年前の税制改正で特定口座を信託銀行が預かる形にできるようになった。財産を減らさないようにプロテクトする制度ができた。だが、NISAにはまだ導入されていない。

Q:簿価残高方式の意味は?
A:買い付け時の金額が復活する。

Q:積立途中に海外に出た場合は?
A:5年間以内なら海外に行っても復活するという制度はそのまま残る。
Q:実際の金融機関は海外に行くと残高の維持をさせてくれない(解約させられる)。対応をお願いしたい。
A:非居住者対応をしてくれる金融機関をしっかり見ていく。非居住者になると手続が面倒くさくてお金もかかり、やっていない機関も多かった。しかし最近、そういうサービスを導入している機関や検討している機関も多くなってきた。今後も注視していきたい。

Q:新旧制度分離の意味は?
A:2024年からは新たな積立は旧制度ではできなくなる。それまでに積み立てた金額の非課税枠は保証されるということ。

Q:「簿価方式で残高を管理」の意味を詳しく知りたい。毎月30万円ずつ積み立てていって、最初に買ったものから簿価が復活するのか、それとも1年間で平均の取得価額を計算するのか?
A:いい質問。総平均法で特定口座でも計算されている。平均単価で売られたものとして簿価が復活する。つみたて投資枠と成長投資枠とそれぞれで分けて総平均を計算する。売るときはどちらの枠を売ったのかを選択してもらい、翌年その分の枠が復活する。

Q:成長投資株とした場合の「成長」の意味は?
A:あまり意味はない。税制上はあまりそういう言葉を使わない、通称。この名前をそのまま使うかどうかは分からない。

Q:成長株というとバリュー株に対応する概念に見えるが?
A:個人的にはキャッチアップ枠と考えている。例えば若いときに積立はできなかったが定年になって退職金をもらった人がキャッチアップするために使う枠。成長株投資だけに使えるという意味ではない。

Q:つみたて投資枠をもっと大きくするわけにはいかなかったのか?
A:60万円という声が多かったがそこは120万円に増額されている。また、成長枠もキャッチアップととらえてもらえばいいのでは。若いときに投資できなかったが、ある程度年になって余剰分ができた人を受け入れる制度。
Q:日本企業にどれだけお金が回るのか?もっと日本企業に魅力を持たせる試みはしていないのか?
A:日本はベンチャー投資が遅れている。日本の金融機関はベンチャーをやりたがらない。ベンチャー税制・課税の繰り延べ制度はあまり使われてこなかった。アメリカには10億円までベンチャー投資に投資しても非課税という制度があった。それを超えるスタートアップ税制・20億円までベンチャーに投資すれば課税されない制度を作った。1年ごとに新たに投資できる。これだけの額の非課税枠があれば証券会社自体もチームを作ってベンチャー投資につなぐことができるようになったと考えている。

Q:非課税枠の管理は証券会社でしてくれるのか?
A:国税庁からデータを送れば証券会社で確認できるようになる。マイナポータルにNISAも入れるようにする予定。

Q:金融機関のシステム対応は間に合いそうか?
A:間に合うと聞いている。総額管理だが年間360万円という縛りがあるので総額1800万円に達するには5年かかる。システムを二段階で構築しようと考えている。
Q:成長投資枠から高レバレッジを除くということだが「高レバレッジ」の意味は?
A:デリバティブ規制。つみたてNISAではすでにのぞかれている。つみたてNISAの政令要件がそのまま当てはまる。プレーンなデリバティブ(ヘッジ目的)ならいいが、そうでなければダメ。

Q:11月ころ難航しているというマスコミ記事があったが、実際に難航したのか?
A:難航しているというのはデマでは?防衛費の問題などポロポロ漏れてくる情報の染み出し感が遅れていたので、難航しているという噂が立ったのではないかと思う。

Q:生涯枠が1500万円から1800万円になった経緯は?
A:マスコミと同じレベルでしか聞いていない。金融庁では数字を入れた要望はしていない。

Q:将来の宿題は?
→つみたてNISAが未成年からできるようにならなかったこと。子供のころから親しむほうが大人になってからも継続する。つみたて投資の普及のためには未成年も積立できるようにしたい。

Q:2000万円問題の関係でプラス360万円としてほしい。
A:一般NISAだけでは恒久化ができなかった。つみたてNISAを若い人が利用するようになり600万口座まで増えたことが功を奏したと思う。新しい制度をきちんと利用していく、大事に育てていくことが大切。

Q:金融機関を二つ以上持った場合に残高を売却することなく口座移管はできるのか?
A:スイッチングが認められなかったところは残念なところ。簿価を認識して売っていかなければならない。証券会社の技術的問題がある。今は証券会社をまたぐとA投信からB投信に乗り換えることはできない。

Q:証券口座の画面はどんな形になるのか?

A:特定口座と非課税枠(旧一般NISA、つみたてNISAと新しいNISA制度)の簿価が並ぶことになる。

Q:年齢を下げてほしい。学校教育も進めてほしい。
A:教育については金融庁マターだと思っている。小中高は文部省の管轄だが今後拡充はしていきたい。大学などでも授業はやっていきたい。

Q:金融教育の担い手は誰を考えているか?担い手を育てるための教科書作りなど大変では?
A:中立的なアドバイザーに情報を発信してもらう。講師を外部から呼んで講演などをしてもらう場合には予算措置も入れて一部国が支援していくような形を検討している。

Q:金融中央広報委員会を利用するという話があるが?
A:検討中だが新たな機関を作って求心力を持ってやっていきたい。来年の通常国会で法案を提出する。
Q:職場を利用した知識の普及の具体的なイメージは?
A:講師を派遣するにしてもお金がかかる。国が補助して職場での普及を図ることを考えている。

Q:職場積立NISAの補助金の制度は続くのか?
A:続けるよう、経団連など経済界にも要望を出している。

Q:相続税対策。高齢になると有価証券から土地に変える人が多いが、相続時に有価証券のままで低い評価を受ける制度にすることはできないのか?
A:要望を出しているが変わらない。どちらかといえば土地を時価評価に近づける方向にしたいという反対の要望がある。

 

以上です。プロのFPさんっぽい方やTVでちらほら名前をお見掛けする方も多くて高度な質問が多く、メモを取るにも難航しました。