「NISA法」を作りましょう!:財務省のNISA恒久化反対論への反論

皆様、こんにちは。にこいちです。

 

 今日は、NHKの記事「5度目の正直? NISA変わるか」(NHK経済部記者 真方健太朗さん/横山太一さん)を読んで考えたことを書きます。
 この記事はファイナンシャル・ジャーナリスト竹川美奈子先生に教えて頂きました。竹川先生、ありがとうございます。

www3.nhk.or.jp

 NISAの恒久化は金融庁が何度も要望したにもかかわらず、財務省から反対されたため、実現していません。
 

1.NISA恒久化に対する財務省の反対の理由

(1)”NISAは租税特別措置法にもとづく税法上の特例であり恒久化すべきでない”

   上記記事の中でこの点に触れている箇所を引用します。

 恒久化は金融庁が過去4度、要望したにもかかわらず認められませんでした。
その理由について、財務省の幹部は次のように話しています。
 財務省幹部 NISAが非課税なのは、租税特別措置法にもとづく税法上の特例として投資を促進するために実施しているからだ。これをいったん恒久化すると、効果を検証して制度を見直すことが難しくなってしまう。時限的な制度として、期限が来るたびに見直しの議論を行うべきだ

 租税特別措置法(以下「措置法」という)は、所得税法人税などさまざまな国税に対する特例(特別な例外)を定めている法律です。1957年に公布され、毎年のように改廃されています。

 NISAは所得税(譲渡所得)の特例とされており、根拠法令は措置法9の8、9の9、37の14、37の14の2等です(No.1535 NISA制度|国税庁)。

 

(2)”NISAを恒久化したり拡大したりすると「金持ち優遇」と批判される”

 再度、記事から引用します。

年間投資枠や非課税限度額をどの程度拡大するかという点もポイントです。拡大しすぎると「金持ち優遇」だという批判を招くおそれがあります。
財務省からは、限度額の拡大に慎重な意見も出ています。

現在のつみたてNISAの非課税限度額は800万円ですが、総務省が5年ごとに調査している「全国家計構造調査」によれば、世帯ごとの金融資産の中央値は650万円(2019年度)。
すべてをNISAで運用したとしても上限額には達しません。

つまり、今の時点でも上限まで投資ができている世帯は少なく、拡大は必要ないのではないかと見ているのです。

財務省の担当者は次のように指摘します。

財務省 担当者
「限度額を上げると富裕層がさらに優遇を受けることになるのではないか」

 

2.財務省に対する反論

(1)「NISA法」を作りましょう

  ”NISAは租税特別措置法にもとづく税法上の特例だから恒久化できない”というのであれば、NISAを恒久化するために新たに法律を作りましょう(「NISA法」というネーミングは竹川美奈子先生の秀逸なアイディアです)。
 「特例」は”特別な例外”なので恒久化できないというのが財務省の主張なのだと思います。であれば、NISAは”特別な例外”ではなく、日本における投資の”原則”としましょう。
 iDeCoについては「確定拠出年金法」が定められています。同様にNISAの法律も立法できるはずです。
(2)NISAの恒久化はすべての日本の居住者に適用される平等な施策

 誰もが社会の構成員として税を広く公平に分かち合っていくため、税の制度は「公平・中立・簡素」が原則となっています。
 このうち「公平の原則」とは、経済力が同等の人に等しい負担を求める「水平的公平」と経済力のある人により大きな負担を求める「垂直的公平」があります。近年は、「世代間の公平」が重要となっています([なぜ、税を納めなければならないのでしょうか] 税の決定者 | 税の学習コーナー|国税庁)。
 財務省は、NISAの恒久化が”富裕層優遇策”となることを恐れています。「垂直的公平」に反するものであることを理由としているようです。

 しかし、ここでいう「富裕層」とは誰のことでしょうか?

 野村総合研究所ニュースリリースによれば、「超富裕層」とは純金融資産が5億円以上、「富裕層」とは純金融資産が1億円以上5億円未満、「準富裕層」が5000万円以上1億円未満の世帯をいいます(野村総合研究所、日本の富裕層は127万世帯、純金融資産総額は299兆円と推計~ いずれも前回推計(2015年)から増加、今後、富裕層の次世代である「親リッチ」獲得競争が活発化 ~ | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI))。
 現在のつみたてNISA枠は1人当たり40万円/年×20年の合計800万円で、仮に世帯の人数を2人とすると世帯当たり1600万円となります。

 純金融資産が1000万円の人にとってつみたてNISAは80%(800万円)まで非課税で運用できる枠となりますが、純金融資産が1億円の人にとってはつみたてNISAは8%(800万円)しか非課税で運用できる枠がなく、非課税枠を切望するのはむしろ金融資産が少ない人のように思います。
 仮に”NISA枠は今でも余っている”という主張に理があるとしても、これは生涯に使える枠の上限金額を一定額に制限すべきという主張の根拠にはなりますが、恒久化に対する反論にはなりません。恒久化すると”いつでもだれでも”利用できる制度となるだけです。

 誰でも働いている間に病気になったり妊娠・出産を経て子育てをしたりと、それまで積み立ててきた金額と同じ金額をつみたてるわけにはいかなくなる事態も生じます。例えば子育てをすると1人が成人するまでに20年かかります。せっかく親世代が20歳でつみたてNISAを初めても25歳で出産すると45歳までは減額した金額のつみたてにならざるをえなくなったりするわけです。その間につみたてNISAの期間が終了してしまうとすると、どうせ枠が無駄になるくらいならつみたてNISAを利用しないでおこう、との判断に至ってしまいます。

 NISAは日本の居住者であれば誰でも使える制度であり、年齢・性別・学歴・国籍などによる区別はありません。心身に障害がある人であっても運用による利益が非課税で得られる制度です。

(3)NISAを恒久化することにより失うモノ、得るモノ

 NISA恒久化によって国全体で得られる利益を計算した資料が見当たらなかったので、ざっくり計算してみました。

 ①失うモノ
 NISAを恒久化すると失われるのは、一定の金額の所得税(譲渡益)収入です。
 国税の収入は、2018年現在で、所得税19.0兆円、法人税12.2兆円、消費税17.6兆円、相続税2.2兆円(2 「税」の現状を知ろう---もっと知りたい税のこと 平成30年6月 : 財務省)。
 2021年12月末現在、NISA口座(一般・つみたて)は1765万口座。うち一般1247万口座、つみたて518万口座。ジュニアは72万口座。1人1口座なので、1837万人がNISA制度を利用していると推計します。同年10月現在の日本人口は1億2550万人なので、約14.6%の人がNISA口座を使っていることとなります(NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について:金融庁)。
 NISA(一般・つみたて)における買付額の合計は25兆4565億円。うち一般24兆175億円、つみたて1兆5290億円。ジュニアは4665億円。合計25兆9230億円。これにより得られた利益を仮に20%として同額を売却した場合に得られる税収(15%)は、7777億円 。
 また、NISA(一般・つみたて)の受取配当金額は3659億円、ジュニアは37億円、合計3696億円。これらの配当への課税により得られたはずの税収(15%)は554億円。

 よって、譲渡益と配当で8331億円の減税をしていることになります。もし、NISA口座の利用者が倍になり、それらの新規加入者も既存加入者と同額を投資したとすると、1兆6662億円の所得税収入がなくなることになります。

②得るモノ

 NISAが恒久化し、証券取引が活発になると、株式や投資信託の売買により証券会社が得る手数料、投資信託の運用会社が得る信託報酬が増えます。現在、NISA(一般・つみたて)、ジュニアNISAの買付額25兆9230億円に対し、0.2%の手数料・報酬がかかっているとすると、518億円の手数料・報酬が得られているはずです。仮にNISA口座数が倍になるとすると、新たに518億円が加わり、合計1036億円の収入が得られるはずです。
 また、2021年中のNISA(一般・つみたて)の売却額は3兆1780億円、ジュニアNISAの売却額は403億円、合計3兆2183億円にのぼっています。これらの売却金は、住宅費、教育費、老後の費用など、まとまった金額の商品・サービスに使われていると推測されます。

 NISAにより売却額の20%の利益を得ていたとすると、2021年中にはNISA制度により6337億円の収入が得られています。仮にこれが倍の金額になったとすると、1兆2873億円の収入が得られることになります。

 加えて、NISA口座で購入した株式や投資信託の値上がりにより、(まだ売却していない分について)年利4%の収益が得られたとすると、単利で年に1兆369億円が得られることになります。仮にこれが倍の金額となったとすると、2兆738億円の収益が得られることになります。

③ とすると、NISAの恒久化により仮にNISA口座保有者が今の倍になった場合に、得るモノは3兆4647億円の企業・個人の収入、失うモノは1兆6380億円の所得税収入であり、差引1兆8267億円、国全体としては儲かるはずです。

④ 財務省とはどのようなところかというと、 

効率的で持続可能な財政への転換を図り、この財政構造を各般の構造改革とともに推進することで、民間需要主導の持続的経済成長の実現を目指します。
少子・高齢化、国際化など経済社会の構造変化に対応できる21世紀のあるべき税制をきずきます。

という組織のはずです(財務省について : 財務省)。

 少子高齢化が急速に進む社会の中で、いくら労働力を増やそうとしてもおのずと限界があります。労働者の頭数を増やしたとしても、年齢、性別、体格差などもあり、皆が同じように長時間健康に労働力を提供できるわけではありません。これを解決するために、NISA制度を恒久化し「貯蓄から投資へ」を実現して、国民全体の収入を増やそうとすることは、少子高齢化による経済社会の構造変化に対応するためのあるべき税制だと考えています。

 NISA制度の恒久化を強く希望します。

 

では、また。

 

金融庁によるNISA拡充案説明会

皆様、こんにちは。にこいちです。

今日は、2022年8月31日にオンラインで行われた、金融庁によるNISA拡充案説明会の内容について、ご紹介します。ただし、最初の10分遅刻して参加したため、不正確なところもあるかと思います。ご容赦ください。

 

1.金融庁・今井利友氏によるNISA拡充案説明

2022年8月付の「令和5(2023)年度税制改正要望について」(パワーポイント資料)5頁の図を紹介しながら、NISAの拡充案が説明されました。

 

金融庁の要望のポイントは以下のとおりです。

 

スローガン「簡素で分かりやすく、使い勝手のよい制度に」

〇制度の恒久化

〇非課税保有期間の無期限化

〇年間投資枠を拡大し、弾力的な積立を可能に

〇非課税限度額の拡大(簿価残高に限度額を設定)

〇つみたてNISAを基本としつつ、一般NISAの機能を引き継ぐ「成長投資枠(仮称)」を導入

〇つみたてNISAの対象年齢を未成年者まで拡大

 ※ジュニアNISAは、予定通り2023年末で新規買付終了

説明図

2.感想

制度の恒久化、非課税保有期間の無期限化が目玉ということで、年齢を問わず、資産形成をしたいと考えている人にとっては、非常に有利な改正であると思いました。

是非、この改正をやり遂げて頂き、少子高齢化による収入不足や社会保険料の高騰を投資による収入で補えるようにして頂きたいと思います。

 

3.Q&A

参加者と今井氏との間で活発な質疑応答が行われました。質問と回答(概要)は以下のとおり。冒頭のいくつかの質問、途中で口頭で行われた質問&回答は拾い切れていません。とても長文です。興味のある方だけお読みください。

Q:NISAと名前がつく制度はつみたてNISAのみになるのか?

A: NISAは一つになる。つみたて枠と成長投資枠になる。

Q:(つみたて額は)12で割り切れる金額になるのか?

A:そうなるように要望している。

Q:スイッチングはどうなるか?

A:つみたてNISAで買ったものはつみたてNISAの対象商品の中でスイッチングできるようにする。

Q:生涯非課税限度額、年間投資枠、非課税限度額の関係がよく分からなかったでもう少し詳しく教えて欲しいです。

A:生涯非課税限度額を例えば2000万円、年間投資枠は例えば60万円とした場合、年間上限額の中で積み立てていく。

Q:生涯総額は、生年月日に関わらず同じ額でしょうか。

A:いつ生まれたかにより差が生じないよう、平等にする。

Q:結果として積立NISA対象商品を一般NISA枠で買った方が、積立NISA対象商品の積み立てが早くなるということでしょうか。これだと、積立NISA対象商品を買いたい人にとっては、一般NISA枠がなくなるまでは積立NISA枠を利用するメリットがないような気もします。

A:青いところ(成長投資枠)が埋まらないと緑(つみたて枠)が買えないということではない。緑(つみたて枠)のほうから先に使って構わない。

Q:既存の一般NISAやジュニアNISA保有者のロールオーバーはどのような仕組みになりますでしょうか。

A:今検討しているところ。今の一般NISA、つみたてNISA、できるだけロールオーバーして新しい勘定でもってもらうようにする。

Q:生涯非課税金額の上限には今まで購入した金額分も含まれますか?

A:YES

Q:非課税限度額の拡大という考え方は初めて聞きましたが、どのくらいの額になるイメージでしょうか。2千万円なのか、2億円なのか、もっと上か?

A:お金持ちが全て非課税でというのは考えていない。億は難しいが、できるだけ多くと考えている。

Q:今まで積み立ててきている枠はどうなるのでしょうか?

A:円滑に移行できるよう検討中。

Q:現在ジュニアNISAを利用している未成年者は、新しいNISAを利用したい場合は、現在のジュニアNISAの預かりを全売却して廃止しないと新しいNISAが使えないのでしょうか?ジュニアNISAを廃止しないまま未成年者は新NISAは併用できないということでしょうか?

A:従来の枠は残して新たに緑(つみたて枠)が買えるようにする。

Q:1つの指数に対して同じ運用会社が複数の投信をつみたてNISA適格商品なっていますが、1つの指数に対し1運用会社1商品の制限するなど数が増えすぎないようにするなど考えてますか?

A:考えてない。

Q:青枠があることで、緑枠の積立NISAの意義が薄れてしまいそうですが?

A:そういうことはないと考えている。

Q:今はNISAを使うのは一人につき一つの金融機関と決められていますが、複数の金融機関を利用できる仕組みは考えられていますか。

A:現在は無理。将来的には可能になるかもしれない。

Q:成長投資枠の対象商品は基本的に現在の一般NISAと同じような枠になるのでしょうか。例えば国内を対象とした株式や投信に限定する、といった様な形になる可能性もあるのでしょうか。

A:必ずしも国内の成長株だけでなく、外国のETF、投信なども買えるようにする。

Q:現行のNISAでは長期投資と関係なく、倒産する会社や低位株のマネーゲームに人気があつまっています。こうしたことを制限するお考えはありますか?

A:行き過ぎた商品は制限せざるをえない。

Q:ジュニアNISAの購入分を新NISAにスイッチングできないのでしょうか。ジュニアNISAの新規買い付け終了後も5年ごとにロールオーバー手続きをし続けるのが非常に面倒です。
A:できない。スイッチングは考えていない。

Q:生涯非課税限度額、年間投資枠、成長投資枠の関係は以下でよいでしょうか?
非課税限度額(生涯) ≧ つみたて分(累積) + 成長投資分(累積)
年間投資枠1 ≧ つみたて分(年毎)
年間投資枠2 ≧ 成長投資分(年毎)
年間投資枠1 ≠ 年間投資枠2 (別途設定のため)
A:申し訳ないが質問の意味がわからない。緑の枠(つみたて枠)よりも青い枠(成長投資枠)が多く買えるということではない。合体した形になる。

Q:ジュニアNISAを持っている人は統合NISAと2つ持てますか?それともジュニアNISAを解約しないとならないのですか
→2023年でジュニアNISAはストップする。2024年から新しいつみたてNISAで積み立てることはできる。

Q:成長投資枠(仮)で管理・整理銘柄、レバナスに加え、タコ足分配が横行し長期的な資産形成に向かないとされる毎月分配型投資信託を規制する考えはありますか。

A:検討中。

Q:国内債券のインデックスファンドや個人向け国債などを新NISAで取扱できるようになりませんか?

A:考えていない。

Q:そもそも緑枠の存在意義はどこにあるのでしょうか?今つみたてNISAで選べる商品を金融庁おススメの製品の様な形で提示しつつ、青枠一つの簡単な形として、そこから選んで積立てにするのも他から選んで一括に買うのも個人の選択に任せる方がより簡単な気がします

A:そういう考えもあるかもしれないが。もともとつみたてNISAができたのは、よりつみたてに特化するため。また、商品の指定をしたいということから。リテラシーが高い人は1つで足りるとういことになるのかもしれない。

Q:ジュニアNISA保有者は、生涯非課税枠MAXまで+既存のジュニアNISA分を保有し続けられる、つまり枠が広がるという理解であっていますでしょうか?

A:どの人も生涯枠が同じようになるようにする。

Q:「投資枠が簿価残高で復活する」の意味がよく分からなかったです。復活分は評価額で判断するわけでははないということでしょうか?

A:枠が2000万で積み立てているのが1900万円まで積み立てていたとする。そのうち1000万円を使うとそこで枠が復活する。生涯いくらまで買い付けられる(途中で使うと枠は復活はしない)という制度ではない。2000万円使ったとしても、使ったら枠が復活するという制度。

Q:現在の一般NISA口座は2024年の制度移行時には、そのまま新制度の口座になり、新しいルールが適用されるイメージですか?

A:経過措置については検討中。今は何ともいえない。いずれかの方法で移行することは考えている。システムの統合が問題。

Q:青枠と緑枠でそれぞれ購入できる投資信託には、同一の投資信託が含まれる可能性があるということですか?例えば、青枠緑枠どちらでもemaxis slimのオールカントリーが購入可能になるかもということですか?

A:緑のものは青でも買える。なので、YES。

Q:金融機関は1年ごとに変えられるということでしたが、生涯非課税枠はどうやって把握されるのでしょうか?(複数の証券会社の簿価合計は)

A:どこか中央に集める。政府のどこかの一機関にデータを集約して各人に対しフィードバックするという制度を考えている。

Q:確認です。生涯非課税上限額はつみたてNISA分と成長投資枠(仮称)分を一括して設定しますか。例、全部まとめて3000万円で、つみたてNISAだけで埋めてもOK。または、別々に設定しますか。例えば、つみたてNISA分2000万円、成長投資枠(仮称)分1000万円分など。

A:青と緑で別々に枠があるが、総枠はつみたてNISA枠を超えない。最大枠でも2000万。

Q:成長投資枠を設定される意図が良くわからないです。つみたてNISAだけで良いのでは?移行を前提とされているから?

A:成長投資枠を考えたのは、加速できる枠が必要なのではないかと思ったから。普通の株を買いたいという人もNISAを利用できるようにするために青い枠を設けている。

Q:例えば生涯非課税額2000万円と仮定し、簿価1500万円で購入し、時価2200万円のNISA口座で500万円解約した場合、NISA枠はどうなりますか?

A:売った金額に対応する簿価が生涯枠として復活する。

Q:簿価合計を行うために何かしらかの機関が名寄せをするのであれば、ここで経費が生じると思います。これは、だれが負担する設計(税金?利用者?)になりそうですか?

A:国が負担することを考えている。

Q:個別商品の話で恐縮ですが、ナスダック100に連動した投資信託もそろそろ設定から5年位になります。S&P500関連に加えて、ナスダック100連動投信も積立てNISAまたは再来年からの緑枠に是非入れてください!

A:緑のつみたてNISA枠に商品を増やしてほしいという要望があるが、NISAを一つにまとめて恒久化するのが今回の目玉である。

Q:今、画面共有していただいている資料は、金融庁webサイトのどこかに掲載されていますでしょうか。あるようならURLをチャットで教えていただけるとありがたいです。

A:

https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20220831/01.pdf


Q:投資ブロガーとして、今回の金融庁の動きを応援する方法として何か望ましい方法はあるでしょうか?

A:いろいろな方法で発信して頂きたい。こういう改革になったらどういう投資環境になるか、どういう利便性があるかを分かりやすく発信してほしい。

Q:今回の要望が通った場合つみップ(個人投資家との勉強会)の復活はありますか?

A:また、全国で説明会をしたい。広報計画はまだ決まっていない。

Q:成長投資枠の件は理解出来ましたが、年間投資枠を態々別途設定する必要は無いような気がしますけども。例えば、一括で投資したいのは分りますが、結局年間投資枠が設定されてしまったら余り意味が無いような...。もっと分りやすい制度にすべきではないでしょうか?

A:検討はしていきたい。

Q:要望の実現度、実現可能性はどの程度を見込んでいますか?

A:なんとも言えない。政治的プロセスを踏んでいくこと。何が何でも実現させたい。

Q:非課税限度額に上限が設けられてますが、一般NISAで満期時にロールオーバーせず課税口座に移すなどの仕組みは設けられるのでしょうか?

A:新しい制度だと恒久的に非課税なので、ロールオーバーという概念はなくなる。今持っている人についてもなるべく手間がかからないようにする。

Q:職場つみたてNISAはどうなりますか?

A:力を入れてやっていきたい。勧めていきたい。

Q:ぜひ実現してください! 応援しております。

A:ありがとうございます。

Q:金融庁さんとしては、「積立での投資」をする人を増やしたいのか、単に「投資」をしたい人を増やしたいのか?どうでしょう?その辺りの意図を教えてください。

A:まずはつみたてから入って頂くのがいいと思っている。

Q:今、保有している一般NISAの預りを新NISAに移管するタイミングは2024年ですか?それとも今の非課税期間が終了するタイミングですか?

A:順次、新しい制度に移管することを考えている。

Q:新しい制度は、途中で売却しても非課税限度枠が復活するようになるのはとても嬉しいです!人生でたびたび運用資産を一時的に取り崩すライフイベントがあるので、枠の復活はとてもニーズがあると思います。

A:ありがとうございます。

Q:職場などで、商品の選択が難しいという人が多い。青枠と緑枠の選択をしやすくしてほしい。

A:まずは緑(つみたて枠)を優先してほしい。

Q:今日の拡充内容とは別ですが、高校からの金融教育にも先々結び付けていきたいですね。

A:そうですね。教育の関係もプランに盛り込まれて政府としても考えていきたい。オールジャパンで考えていきたい。

Q:つみたてNISAで運用している資産を新制度のつみたてNISAに移すタイミングは非課税期間の20年後終了後でしょうか。

A:どこかでボンと移行する形にしたい。特別な手続きなく、気づいたら移行したという形にしたい。

Q:売却で非課税限度枠が復活するのは理解できました。復活のタイミングとしては、売却後即時で復活するイメージでしょうか?例えばリバランスをしたい場合、外国株式を一部売却して、すぐに国内株式を買って比率を整える・・・というようなことがリアルタイムにできるのか、翌日など一定期間経過後になってから買い付け可能になるイメージでしょうか。

A:翌年を待たずしてスイッチングする方法も検討している。

Q:つみたてNISAから20年後統合NISAへロールオーバーしたいときに、すでに生涯非課税限度額を超えていた場合でもロールオーバーできるような時限措置、移行措置はありうるのでしょうか
→それより前、できれば2024年に移行する方法を考えている。

Q:名寄せが地味に大変そうな気がします。今井さんとしては国がプラットフォームを用意するイメージでお考えですか?

A:何とか行けるのでは。新しい技術もできているので。

Q:一般の社会人向けの普及策はなにか考えられているでしょうか?自分もたまたま銀行でNISAというキーワードを聞くまで、まったく知らなかったので、普及にはきっかけが大事だと思いました。

A:職場や学校でも広めていきたい。

Q:システム上、対応は簡単ではないとは思いますが、是非リバランスもお願いします。リバランスは緑枠だけでしょうか、あるいは導入する場合は青枠でも導入されるのでしょうか。

A:株はリバランスが難しいと思われる。

Q:感想ですが、この制度を利用される方を増やすのが目的なのであれば、初心者にもっと分りやすい制度にしないと増えないのでは無いか?とお聞きして感じました。(どうしても成長投資枠を態々設ける点がすっきりしません)

A:わかりやすい制度にしていきたい。

Q:海外住まいの日本人や日本住まいの外国人も新しい制度は利用できますか?
→前者(非居住者、5年以内の海外赴任は例外)は利用できない。後者(居住者)は使える。
Q:反対している人の主な理由は何ですか?
A:恒久化については財務省が反対している。もっと利用者やNISA口座での買付額等の実績を出せと言っている。我々としては逆に恒久化しないと普及しないと思っている。

※ファイナンシャル・ジャーナリスト竹川美奈子先生のご教示によりAに「利用者やNISA口座での買付額等の実績」という言葉を補足しました。財務省は「財政健全化」が基本命題なので税収はキープしたい、だから減税策となるNISAの拡充には反対なのだろう、とのことでした。竹川先生、ありがとうございました。

Q:NISAの抜本的拡充を応援します。ぜひ、実現させてください。成長投資枠(仮称)が日本株限定になるのではないかなどの懸念が晴れました。
A:日本株には限定しません。

 

以上です。今井さんはもっと丁寧に答えておられたのですが、私のメモ取り能力の限界でこれしか言葉が拾えませんでした。久しぶりに今井さんのお顔が拝見でき、お元気そうで何よりでした。NISA恒久化、大変期待しております。金融庁の皆様、いつもありがとうございます。

 

では、また!

「金持ち父さん 貧乏父さん」、バフェットと簿記の勉強

 こんにちは。にこいちです。

 連日猛暑日が続きますね。皆様、お盆休みはどう過ごされているでしょうか?

 私は、久しぶりに勉強を離れて好きな本を読んだり、親戚に会ったりして、のんびり過ごしています。

 今日は、投資のためには簿記(会計)の勉強をしなくては、と思うきっかけとなった本をご紹介したいと思います。

 

1.「金持ち父さん 貧乏父さん」(ロバート・キヨサキシャロン・レクター著)

 「金持ち父さん、貧乏父さん」は、2000年に初版が刊行された投資本のベストセラー。シリーズ全体の発行部数は日本国内で累計400万部を超えたほか、全世界では51種類の言語に翻訳、109か国で発行され、累計部数は4000万部を突破したと言われています(2022年8月現在)

 出版して爆発的に売れたころに私も1回読みましたが、その当時はあまりピンと来ずに放置してました。2010年ころに投資に興味を持ち読み直したところ、その面白さにはまってしまい、今まで6回以上繰り返し読み直しています(現在持っているのは初版第90刷)。

 この「金持ち父さん 貧乏父さん」は、金持ち父さんの六つの教えとして、

 ①金持ちはお金のためには働かない、

 ②お金の流れの読み方を学ぶ、

 ③自分のビジネスを持つ、

 ④会社を作って節税する、

 ⑤金持ちはお金を作り出す、

 ⑥お金のためではなく学ぶために働く、

について詳しく紹介し、実践するための方法を教えてくれています。

 ②のお金の流れの読み方を学ぶに関する記述として、以下のような文章があります。

 金持ちになりたければ、お金について勉強しなければならない。(90頁)

金持ち父さんは私の顔を見るたびに「ファイナンシャル・リテラシー(お金に関する読み書きの能力)」をマスターする必要性を説き続けた。(91頁)

会計学」が世界で最も退屈な科目だと思っている人は多いだろう。おまけにわかりにくさも天下一品だ。だが、金持ちになりたいと思ったら、長い目で見てこれほど役に立つ学問はない。(91頁)

ファインナンシャルIQというのは次のような四つの専門的分野の知識(注:会計力、投資力、市場の理解力、法律力)から成り立っている・・・。

1.会計力

私はこれをファイナンシャル・リテラシーと呼んでいる。自分の「帝国」を築きたいと思っている人には不可欠の技能だ。扱うお金の量が多くなればなるほど、その扱いに正確さが要求される。そうしなければ築いた城は崩れてしまう。この技能に必要なのは左脳の働きだ。あるいは細かいところに気を配る能力と言ってもいいだろう。これは具体的には、貸借対照表損益計算書といった財務諸表を読んで理解できる能力を示す。この能力を使えば、どんな種類のビジネスにおいてもその強みと弱みを見極めることができる。(144頁)

 

2.「ウォーレン・バフェット 成功の名語録」(桑原晃弥著)

 2012年に発行された著名投資家バフェットの名語録集。右頁で1フレーズを紹介し、左頁でそのフレーズの解説を行っています。巻頭にはバフェットの年表もあり、バフェットの思想や半生を手軽に学ぶことができる、読みやすい本です。 

投資で勝つための必須能力を、バフェットは四つあげている。

財務会計や簿記の知識。企業の活動を知り、財務諸表を読みこなす力は不可欠だ

②ある程度の情熱

③辛抱強さ

④冷静さ

(109頁)

 

3.「バフェットの財務諸表を読む力」(メアリー・バフェット&デビット・クラーク著、峯村利哉訳)

 個別株の勉強を始めたころに、有名投資家のらうさんから教えてもらった本です。次の一節は、四季報investorsのdojimaさんも講義の中で常に引用されています。

「あなたは会計を理解するだけでなく、会計の行間に潜む機微を理解する必要がある。会計はビジネスの共通言語だ。言語として完全とは言いがたいものの、会計を学ぶ努力をしないかぎり、そして財務諸表を読んで理解する努力をしないかぎり、自分で株の銘柄を選択することなど夢のまた夢である」-ウォーレン・バフェット(14頁)

 

4.「金持ち父さん 貧乏父さん」、バフェットの本はすべてアメリカの制度を前提に記述されています。なので「会計を学べ」と言われても、日本ではどのような学問をすればいいのか、いまいちピンときてませんでした。大学の商学部の授業で使われる難しい「会計学」の教科書を読まなければならないのかな?自分にはそんな難しいことはできない、とあきらめていました。

 個別株の投資を始め、簿記の予備校(TAC)に行き試験を受けるように勉強会(四季報investors)で指導されても、簿記の勉強と「金持ち父さん 貧乏父さん」やバフェット本とのリンクを意識したことはありませんでした。

 しかし、最近、簿記1級の勉強に進んでみたところ、原価率・利益率や割引現在価値の計算をしたり、「金持ち父さん 貧乏父さん」の名フレーズ「資産は私のポケットにお金を入れてくれる 負債は私のポケットからお金をとっていく」ことを示す図とそっくりの図を予備校の先生が黒板に書いて説明してくださったりして「ああ、あの本で読んだフレーズや図は、こんなに高度な話をごく単純化して分かりやすく説明してくれていたのだ」ということが分かるようになると、勉強が面白くなってきました。また、投資している企業の財務諸表を前よりも短時間で読めるようになり、バフェットのいう「会計はビジネスの共通言語だ」「企業の活動を知り、財務諸表を読みこなす力は不可欠だ」という言葉は、そのとおりだと思うようになってきました。決算発表を見て、なぜこの企業は株価が上がるのか、下がるのかということもおぼろげながら分かるようになりました(間違うことも多々ありますけど)。

 簿記は手軽に予備校で習うことができます。通信専門の予備校もあります。最近はYoutube動画(例えば、ふくしままさゆき先生など)で無料で習うこともできるようになりました。また、試験を受けるのに資格制限はありません。

 どの人でも幅広く学べる学問ですので、投資に興味がある人は是非学ばれるといいのではないかと思います。

 ちなみに、私はずっとインデックス投資を中心にしてきたため最近まで簿記の勉強を学ぶ必要性を感じずにきたのですが、簿記で得た知識は、自分や家族の財務諸表を作るのにも役立っていますし、経済ニュースを理解するのにも役立っています。何よりも、個別株投資にはどういう手間がどれだけかかるのか/どこが面白いのか、ボーグルさんの開発したインデックスファンドがなぜ素晴らしい発明なのか、理由がよくわかるようになります。インデックス投資家さんにも簿記の勉強をお勧めします、視点が広がり楽しいですよ。

 では、また。

「悩み」の分類と対策

皆様、こんにちは。にこいちです。

 

今日は、人間一般の「悩み」の分類をしてみたいと思います。

 

このように考えるようになったきっかけは、2022年7月8日の安倍晋三元総理銃撃事件の被疑者が、家族の新興宗教入信・破産に長期間悩んでいたという記事を読んだからです。

 

元総理を射殺するほどの強い恨みを抱き続け、しかも実行してしまったことに強い衝撃を受けました。

 

また、被疑者の家族が新興宗教に入信したのは、配偶者の死亡や子供の病気などを悩んでいたことがきっかけと報道されています。早期にこの悩みを解決できていれば、新興宗教への入信はなかったのではないかと思いました。

 

他方で、歴史書や小説を読むと、住む国や文化が違っても「悩み」はかなりの程度で人間一般に共通しており、しかも古代・中世のころから同じようなことをぐるぐる「悩み」続けているのではないか?という気持ちもしています。

 

そこで、世の中にどのような悩みがあるかを分類・整理し、事前にその悩みに対する対応策を自分なりに考えておけば、一種のBCP(Business Contingency Plan、危機対応策)として使えるのではないかと考えました。以下、分類をしてみます。

 

Ⅰ 分類

1.経済

 ①貧困

 ②借金

2.人間関係

 ① コミュニケーション不全(家族、親族、友人、恋人、上司、部下、取引先、近隣)

 ②孤独

3.労働環境(過大な労働負荷)

 ① 家庭:家事、配偶者・子供・老人のケア

 ② 職場:上司、部下、取引先のケア。仕事の質・量。

4.健康

 ①病気(痛み、不快感、うつ、性的トラブル(望まない妊娠・出産を含む)、後遺症、心身の機能喪失

 ②将来の健康状態に対する不安 

 ③死への恐れ

5.被害・人権侵害

 ①犯罪被害、違法行為の被害(DV、いじめ、ハラスメントを含む)

 ②社会・政府による抑圧(同調圧力を含む)

6.自己実現不達成

 ①学業不振

 ②進路・就職先の不満

 ③リストラ、失業

 ④自己肯定感が低い(自分の能力、体形、容貌に対する不満を含む)

 ⑤承認欲求の不満足(モテない、優しくされない)

 ⑥やりたいことができない(理想との乖離)

7.快適でない環境

 ①天災(地震、台風、津波など)の被害

 ②気候(暑い、寒い、乾燥、湿気)

 ③公害(騒音、振動、大気汚染、水質汚染など)

8.その他

 ①自分自身の犯罪・違法行為発覚

 ②近しい人の不幸全般(死、病気、新興宗教入信、破産など)

 ③ペットの不幸全般(死、病気など)

 

Ⅱ 対策

1.事前の準備

(1)相談先を複数リストアップしておく。

 ・経済に関する相談:

  ハローワーク(就職先を探す)、役所(生活保護補助金)、
  弁護士(債務整理、破産)、税理士(税金)、
  ファイナンシャル・プランナー(ライフプランの作成、相談)

 ・健康に関する相談:

  医療機関(かかりつけ医(内科)、心療内科、総合病院)

 ・人間関係に関する相談:
  福祉保健局(自殺相談ダイヤル)、日本司法支援センター(法テラス)

  弁護士会司法書士会(紛争の金額が140万円以下)

  心療内科、労働基準監督局(労働問題)

 ・被害・人権侵害に関する相談:
  警察(刑事事件)、日本司法支援センター「法テラス」(全般)、
  弁護士会(全般)

 ・自己実現不達成に関する相談:福祉保健局(自殺相談ダイヤル)、心療内科

 ・快適でない環境に関する相談:日本司法支援センター「法テラス」(全般)、
  弁護士会(全般)

 ・その他の相談:福祉保健局(自殺相談ダイヤル)、心療内科

(2)自分の悩みと共通するテーマを扱った本を読む、ドキュメンタリーを見る

(3)身近な人(家族や友人)に相談する。

   話すことで問題点が整理されたり、親身になってもらえることもある。

   とはいえ、専門家ではないのでアドバイスは玉石混淆。

   相手に負担がかかりすぎないようにご注意ください。

(4)インターネットで似たような悩みを検索

 注:もっとも手軽だが、個人情報を吐き出させたり、詐欺的サイトや詐欺的宗教団体の標的にされて二次被害に合うこともある。要注意。

 

以上、「悩み」の分類と対策を整理してみました。

 

では、また。 

 

 

 

 

 

日商簿記3級&2級受験記

こんにちは。にこいちです。今日は、先日合格した日商簿記2級受験記、その前に受験した簿記3級の受験記を書きます。

 

1.受験の目的

 一言でいうと、個別株投資のため、財務諸表を読めるようになりたかったから。

 私は、2004年からインデックス投信の積み立て投資を続けています(2008~2010年は停止)。しかし、その前に二度、個別株投資をしたことがありました。1回は1992年に1年ほど、2回目は2015年から2017年にかけて2年半ほど。

 1回目はTHK。当時はベアリング製造・販売の会社でした。THKに投資をして成功した女性投資家の本を読んで「自分でもやってみたい!」と思い、買ってみたけど鳴かず飛ばず。結局15万円ほど損失を出して終わりました(涙)。15万円は3か月分のバイト代に相当。当時はアルバイト生活でお金もなく、大変つらかったです。

 2回目は健康コーポレーション(今のRIZAP社)。おからクッキーが有名で、優待でもらえるというので試してみたくて、2015年ころに株を買いました。そのうち、同社はM&Aを繰り返すようになりましたが、ジーンズメイトをM&Aしたのに納得がいかなくて持ち続けるのがイヤになり(M&Aによるシナジー効果がピンと来なかったのです)、2017年夏ころに売ってしまいました。いくばくかの利益は出たけど、その後株価はどんどん上がり買値の7倍くらいになりました。ですが、皆様ご存じのとおり、RIZAP社は2018年秋に会計不正が発覚して株価が急落し、その後は低迷が続いています。このとき「負ののれん」の不正計上が話題になりましたが、当時は全く意味が分かりませんでした。会計不正の手管も理解できないのに個別株投資をしてはダメだな、と思いました。

 とはいえ、個別株投資に興味を失ったわけではなく、経済評論家・山崎元さんの記事で、山崎さんはインデックス投資を勧めているけれども、退職したら趣味として個別株投資をやってみたいと思っている、と書かれたものを読んで、自分も趣味として個別株投資をするのはありかも、と思いました。

 2018年冬、有名個人投資家・大膨張さんの飲み会にたまたま参加することができ、「初心者向きにはこういう勉強会があるよ」と教えてもらった「四季報investors」という会社四季報の読書会に参加するようになりました。同会には「初心者基本勉強会」(今期から「四季報活用研究会」と名称を変更)という、主催者のdojimaさんが1年間をかけて丁寧に四季報の読み方を教えてくれるという講義方式の勉強会があります。そこで、dojimaさんから毎回のように「個別株投資をやるなら簿記を勉強するのがおすすめです。2級までは絶対に取るように」と言われました。

 最初は「自分は、会計にそんなに興味ないしー、経理で就職する気持ちもないしー、数字も苦手だしー」と思い、逃げ腰に。投資に関する指標(PER、PBR、ROEROA)や分析方法を勉強するためビジネス会計検定の試験(マークシートなのでわりと気安く受けられる)を受けたりしていたのですが、ビジネス会計検定2級のテキストと問題集があまりにも初心者に不親切で行き詰まり、途中で簿記3級の勉強に切り替えることにしました。

 

2 簿記3級の勉強方法

(1)まず、費用が安いことに惹かれて、TACの「独学道場」というテキストとDVDのセット教材(3級用、数千円)を買ってみました。講義は一通り聞いたけど、あまりに骨子だけすぎました。仕訳はいくぶんか解けるようになったけど、試算表や精算表の問題は全然解けるようになりませんでした。

(2)次に、費用が安いことに惹かれて(←懲りないw)、クレアールという通信制の学校で勉強してみました。紙のテキストを使い、授業はオンラインで受講しました。3級・2級合わせて4万円ほどだったと記憶しています。3級は全部、2級は一部だけ授業を聞いて問題も少し解いてみたのですが、まったく解けるようにならず、挫折しました。

 自分にクレアールが向かなかった理由は、①生の講義がなく試験までのスケジュール管理がうまくいかなかった、②試算表や精算表など表の穴埋めをする問題を、どこからどういう順番でどうやってうめていくか、分からなかった、③問題集の回答がていねいでなかった(回答の数字は書いてあるがどうしてそのような答えになるか、根拠や手順があまり書いてない、問題解説の動画はあるが数が多すぎて視聴しきれないし、必要な部分を検索できない)、④講師に直接会って質問をする機会がない、などでした。

 2019年11月にペーパー試験を受けましたが、58点で不合格でした。

(3)ウジウジ悩んでいた私に再度喝を入れてくれたのは、dojimaさんでした。「TACに中嶋浩之(なかじま ひろゆき)先生という素晴らしい先生がいる。中嶋先生の講義を受けることを勧めます。」

 残念ながら、私が受講しようとした2020年夏ころ、中嶋先生の担当は簿記2級の授業だけで3級の授業はお持ちではありませんでした。

(4)そこで、2020年夏に、週に2回、TACの苫米地静(とまべち しずか)先生の授業を受けました。費用は3万円弱(簿記3級合格本科生)。

 教科書は、よくわかる簿記シリーズの「合格テキスト」と「合格トレーニング」。

bookstore.tac-school.co.jp


 苫米地先生は頭が切れる方で、授業も歯切れよく、分かりやすくてよかったです。例えば、私の苦手な試算表や精算表の数字の埋め方を、黒板に書いた表をチョークで3~4色に色分けをするなどして、分かりやすく教えてくださいました。質問をしにいくと「ナゼコンナシツモンヲ?」みたいな厳しめのツッコミをいただくこともありましたが(笑)、それはレアケースで、大概はていねいに基本までさかのぼって教えてくださいました。
 苫米地先生はウェブフォロー(同一の範囲の講義をオンライン受講できる)の担当講師でもいらしたので、生講義で分からなかった部分をオンラインで聞き直せるのも助かりました。私は1回では理解できないところがあったので、全講義を生とオンラインとで1回ずつ受講しました。

(5)2020年11月のペーパー試験で合格(発表は12月1日)。点数は77点でした。トータルでの勉強時間は、講義で72時間(12回×約3時間×2回)、総まとめ講義及び答練(1回のみ)で18時間、予習復習で60時間、「合格するための本試験問題集」(過去問の改題)で100時間くらいでした。なのでTACで250時間位です。

(6)とはいえ、その前に独学道場やらクレアールやらをやっていたので、勉強時間は完全に300時間を超えてます。たぶん350時間位?よくわかりません。

(7)さらに言うと、実は25、6年前にも簿記3級の勉強にチャレンジして挫折した経験があるので、それを合わせると勉強時間はたぶん400時間を超えています。どれだけ自分が向いていない勉強をやると時間がかかるか、という見本です…。

 

3 簿記2級の勉強方法

(1)2021年1月から6月まで、TACの授業を受けました。週に2回、同日に午前は苫米地先生と高橋靖明(たかはし やすあき)先生、午後は中嶋浩之先生。TACは合格本科生の通学授業を選択すると、同じ範囲の生講義を同じ期間に2度まで受けることができるので、その制度を利用しました。ステップアップ割引というシステムがあって、費用は7万円弱(簿記2級合格本科生)でした。

(2)苫米地先生、高橋先生と中嶋先生は全くタイプが違いました。高橋先生はちょっと気だるげな「いまどきの若者」って感じ(笑)。もともとの頭が切れるタイプで、レジュメもすべてコンピュータで作成。「あとはこの仕訳を覚えてね♪」が口癖でした。楽しく・軽く受けられる授業だったので、もともと簿記の素養がある人には向いている授業だと思います。私は予習する代わりに受けていました。

(3)中嶋先生は、ち密な努力と入念な準備で授業に臨まれる懇切丁寧な方、さまざまな困難を根性で乗り越えて来られたタイプです。受講生が必要とするであろう情報をすべて詳細なレジュメと補助レジュメ(両方とも手書き)で提供してくださいます。補助レジュメには、試験までの勉強時間のスケジュールの作り方や実例、問題集の間違い箇所チェックリスト、本試験前にやるとよい商業簿記の仕訳集、工業簿記で直前に見直すとよい勘定連絡図を問題ケースごとに集めたものなどがありました。

(★本当はここで中嶋先生のレジュメの見本を貼り付けようと思ったのですが(中嶋先生の了解を取り付け済み)、パソコンでうまく画像がアップされないので、後日、再トライしてみます★)

 また、中嶋先生はミニテストをすべて回収し、採点の上で返却。その際、一口コメントとともに、かわいいトトロのハンコを押してくださいます。私はこのハンコを集めたくてミニテストを毎回提出していました。

 試験直前の答練では、試験当日にやることのシミュレーション(小説風)を配布してくださったり、採点後の感想(受講生がどこができなかったか)を配布してくださったりしました。受験生が予め落ちるであろう穴をすべて先生が先回りして塞いで回ってくださっている感じでした。

 授業やテキスト、問題集で分からないところがあったときに質問に行くと、いつもていねいに教えてくださいました。特に問題集は全部自分で解かれているようで、どの問題のここが分からない(←先生に下書き用紙を見せて相談するとよいです)と言うと、即座に「この問題はこういう図を描いて解くとよい」というようなことを黒板に見本の図を描いて教えてくださるのが助かりました。

 自分はもともとが数字に疎く(小学校では算数が苦手科目、中学で公文をやり少し持ち直したものの、高校では赤点とったり)、簿記には全く向いていないタイプだったので「弱者に優しい」中嶋先生のほうが合っていた感じです。

(4)2021年5月下旬にネット試験を受けましたがあえなく撃沈(49点)、6月のペーパー試験も61点で不合格。

(5)その後、オリンピック・パラリンピックのボランティアをしたり、読書にふけったり、旅行に行ったりと遊んでしまい、2021年11月の試験はほぼノー勉強で受験し、当然撃沈(点数不明)。2022年2月に入ってからようやくスイッチが入って勉強をするようになりました。2月27日のペーパー試験では手ごたえはよかったものの66点で不合格(3月18日発表)。4月に入ってから勉強を再開し、5月9日にネット試験を受けて68点で不合格。5月16日にようやくネット試験を75点で合格しました。トータルで6回受験し、5回不合格、1回合格です。

(6)勉強時間は、講義が168時間(84時間×2人の講師)、総まとめ講義や答練で24時間、これらの復習が200時間位。「合格するための本試験問題集」(過去問の改題)は200時間位(5回転半)。トータルで600時間位です。

(7)2022年2月に入ってからは、今年の前半で受かりたいと強く思うようになり、勉強に専念するためシェアオフィスを借りました。シェアオフィスには、司法試験・司法書士公認会計士・税理士・簿記など様々な勉強をする受験生がいらしたり、行政書士公認会計士として働く方もいらしたりして、刺激を受けます。費用は月額約1万4300円+ロッカー代2200円、合計1万6500円です。1月に20回通うとして1日当たり825円。コーヒーやお茶は飲み放題で、印刷・コピー代も無料でついているところを選んだので、解答用紙をコピーして使うのに役立ちました。ついたてもあり、落ち着いて勉強できます。
 週末だけだともっと安く借りれるプランがあり、4000~5000円位。
 スタバなどの喫茶店で勉強したり、直前にホテルで缶詰めになるよりも、こういうシェアオフィスのほうが、集中して勉強したい方にはおすすめです。場所は諸般の事情から公表しませんが、お住まいやお勤め先の通いやすい場所の名前と「シェアオフィス」「コワーキングスペース」「無料プリンター」などでググってみてください。
  なお、TACの合格本科生だと無料で勉強できる自習室があります(受講票の提示を求められます)。ロッカーは月額2200円くらいだったかと(たしか受講生限定です)。公認会計士や税理士、公務員、簿記の受験生などが真剣に勉強していて、めっちゃシーンとしていて、咳払いやくしゃみもはばかられ、ちょっと怖い(笑)。格安なので学生さんなどの若い方にはお勧めですが、長机でついたてがないのであまり集中できず、自分には合わないと判断し、たまにしか使いませんでした。

 

4 試験問題非公表対策

 2021年6月のペーパー試験から、2級と3級の過去問題が公表されなくなりました。また、2020年12月から始まった簿記2級と3級のネット試験でも問題は公表されていません。

 そのため、私は受ける度に手控えとして、受験日時、場所、問題を解いた順番やかけた時間、各問題の点数や仕訳などをメモで残すようにしていました。試験から帰る電車の中で思い出せる限りの内容をメモ帳に書きなぐりました。

 この手控えは、何回か試験を受験する中で、自分の弱点探しや試験の傾向をつかむのに役立ちましたので、一般的な受験対策としてお勧めします。

 (注)なお、試験の内容をSNS等で公表することは禁じられていますので、私がこのメモを公開することはありません。

 

5 まとめ

 以上、備忘を兼ねて書きました。長文、失礼しました。

 ちなみにTACの通学講座の費用は、2年ほど前に皆に配られた特別給付金10万円を使いました。

 最後に、すべての簿記試験の受験生にエールを送ります。
 Never Giveup! Challenge, Challenge and Challenge! 

 (あきらずにチャレンジすれば、道は開けます!)

 

 

 

 

 

 

ポンペイ展の紹介と感想

こんにちは、にこいちです。

 

上野の東京国立博物館で開催されている「ポンペイ展」に行ってきました。展示物を写真で紹介しながら(展示物の写真撮影は原則自由)、感想を書きたいと思います。

 

1.ポンペイの遺跡って何?

ポンペイは、イタリア中部にあった都市です。葡萄栽培が盛んで、裕福な市民も多く住んでいました。奴隷はいましたが身分は流動的で、親が奴隷でも子供ががんばって富裕層になった例もあったそうです。

79年にベスビオ山が噴火し、噴火後に発生した火砕流に街は飲み込まれ、市民ごと埋没しました。

 

2.展示物の紹介(5部構成)

「第1章 ポンペイの街:公共施設と宗教」では、公共施設にまつわる作品、特に、ポンペイで信仰されたアポロ、ウェヌス、イシスといった神々に関する出土品(彫刻など)が紹介されていました。

f:id:nikoandichi:20220306200952j:plain

噴火前のベスビオ山が描かれた絵画

f:id:nikoandichi:20220306201112j:plain

エジプト由来の楽器「シストルム」 横に振ってガシャガシャという音を出す

第2章 ポンペイの社会と人びとの活躍」では、裕福な市民たちの暮らしぶりが分かる出土品(壺や装飾品など)が展示されていました。

f:id:nikoandichi:20220306201407j:plain

エウマキア像(毛織物業者の保護者エウマキアを讃える像)

女性はどのような仕事をして裕福になったかというと、不動産業(貸部屋など)をしていたようです。

f:id:nikoandichi:20220306201824j:plain

金と真珠のアクセサリー

f:id:nikoandichi:20220306201941j:plain

書字板と尖筆を持つ女性(通称「サッフォー」)

「第3章 人びとの生活:食と仕事」では、台所用品や食器類、黒焦げになった食材が展示されていました。また、医療用具、画材、農具、工具など、ポンペイの住民が使っていた仕事道具を紹介されていました。

f:id:nikoandichi:20220306202120j:plain

金庫

f:id:nikoandichi:20220306202219j:plain

テーブル天板(通称「メメント・モリ」)

f:id:nikoandichi:20220306202341j:plain

パン屋の店先の絵

「第4章 ポンペイ繁栄の歴史」では、3軒の邸宅「ファウヌスの家」「竪琴奏者の家」「悲劇詩人の家」をとりあげ、会場内に邸宅の一部が再現されていました。

f:id:nikoandichi:20220306202615j:plain

ファウヌスの家の床にあった絵画

f:id:nikoandichi:20220306202757j:plain

上記壁画の一部の拡大(アレクサンドロス大王) 歴史の教科書で見た記憶

f:id:nikoandichi:20220306203024j:plain

邸宅内のモザイク画

f:id:nikoandichi:20220306203133j:plain

邸宅内のモザイク画

f:id:nikoandichi:20220306203153j:plain

邸宅内の噴水の再現

f:id:nikoandichi:20220306203254j:plain

ファウヌス像

f:id:nikoandichi:20220306203546j:plain

邸宅内の様子の再現


第5章 発掘の今むかし」では、18世紀から現在に至る発掘の歴史が紹介されていました。

 

3.感想

(1)いくらお金があっても自然の災害には勝てない

数々の出土品から明らかなように、ポンペイ市民の中には途方もないお金持ちもいました。しかし、いくらお金があっても火山の噴火という自然の災害には勝てません。自然災害の前では皆平等であるという残酷な人生の一面を見たような気がします。

(2)お金持ちの「栄光よ永遠なれ」という願いが期せずしてかなってしまった悲劇性

成功している人は誰でも「自分(や子孫)の栄光よ永遠なれ」と願ったことがあると思いますが、ポンペイは街ごと火砕流に埋没することにより、当時のお金持ちの栄華が半永久的に保存されることになったのは皮肉であり、悲劇であるように感じます。

(3)優れた美術品は時を経ても残り続ける

優れた彫刻、絵画(タイル画、壁画)は、製作をした芸術家やモデルの名前は残らなくても、作品は永遠に残り続けます。また、当時の生活(服飾品など)を後世に伝えてくれます。美というのは、経年劣化に勝つ唯一の手段なのかもしれません。

(4)ヨーロッパの美男・美人の尺度は数千年を経ても変わらない

特に彫刻を見て思いましたけど、美男は筋肉ムキムキ、美女はすらりとしてほどよくグラマーな身体。顔も、今でも通じるハンサム、美女が揃っています。日本だと、昔はうりざね顔の細目が美人だったりしますが、ヨーロッパだと時を経ても美男・美女の尺度はあまり変わらないのだなあと思いました。

(5)すべての展示品に4か国語の説明がついていたことに対する驚き

すべての展示物には、日本語、英語、中国語(簡体字)、ハングルで、名称が書かれていました。また、(すべてではありませんが)主要な説明や展示物については、説明文もこの4か国語で書かれていました。母語が日本語でないお友達がいても、一緒に楽しめる展示になっています。

(6)採掘・復元の果てしない努力、遠く離れた日本で開催されたことに対する感謝

モザイク画にはひび割れの跡があったりして、割れてバラバラになった破片を組み合わせ、つなぎ合わせて、1枚の絵画に復元するまでの発掘・復元に対する並々ならぬ努力を感じました。展示物を貸してくださったナポリ国立考古学博物館、主催者、協賛者、後援者の皆さんのチームワークがなければ、これだけの展示物を運搬し、展示できなかったように思います。コロナ禍で海外旅行に行けない日が続いていますが、ポンペイ展の開催により、日本語で、ポンペイの主要な展示物の解説を読みながら、鑑賞できて本当によかったと思います。関係者の皆様、ありがとうございました。

 

4.ポンペイ展は2022年4月3日まで開催しています。ご興味のある方は是非いらしっしゃるとよいと思います。

f:id:nikoandichi:20220306214025j:plain

博物館の建物右脇奥の梅 今が満開

f:id:nikoandichi:20220306214139j:plain

梅の脇の通路を進むと現れる庭園 博物館入場者は無料で入れます

それでは、また。

 

書評「自分の意見で生きていこう」

こんにちは、にこいちです。今日は、1月11日に発行されたちきりんさんの著作「自分の意見で生きていこう」の書評を書きます。

 

ここまで書評を書くのが遅れたのは、正直に言えば、この本が私には非常に難しく感じたからです。ちきりんさんの言葉自体は平易な日本語で書かれているのですが、読者に対する要求水準が非常に高く、読み進むうちにぐさぐさナイフで刺されているような痛みを覚えます。なので、正解のない問題に対し、苦しみながらも自分にとっての答えを探し続ける意欲のある人でないと、読んでいてつらい本だなと思いました。

 

1.意見とはなにか、なぜ必要なのか。

(1)要約

ちきりんさんによれば、世の中のあらゆる問題は、「正解のある問題」と「正解のない問題」に分類されます。「正解のある問題」は調べれば正解の出る問題、「正解のない問題」は調べても正解が出ない、すなわち人がそれぞれ嗜好により選択すべき問題で正解がないものをいいます。「正解のある問題」は例えば手術の成功可能性、「正解のない問題」は例えば実際に手術を受けるべきかです。

「正解のある問題」には「正解」(=事実)か「誤答」(=事実に反する)があり、これは調査すれば分かるものとされています。しかし、「正解のない問題」に対しては、さまざまな「意見」があるだけで、「正解」も「誤答」もありません。カリスマや世間の常識も「正解」とは限りません。

また、重要な問題や人生には正解がありません。それは「どんな人生がもっともよい人生なのか?」という問いに正解がないから、とちきりんさんは説きます。もし「どんな人生がもっともよい人生なのか?」という問いに答えがあって学校教育等で教えられるものであれば、ダイバーシティ(多様性)に乏しくなり、社会の持続的発展にマイナスの影響を与える、と考えているそうです。

(2)感想

私は、この最初の章からつまずきました。最近読んだ別の本には「何をもって幸せとするかは人それぞれで、定義するのは難しい。とはいえ、誰にとっても共通の要素はある。それは、『思い通りの人生を送れること』だ。好きなときに、好きな人と、好きなだけ、好きなことができる。それは、何物にも代えがたい価値がある。そして、これこそが、お金から得られる最高の配当なのだ。」(モーガン・ハウセル箸「サイコロジー・オブ・マネー」126頁)とあって、私のモヤモヤ考えていたことをまさにまとめてくれたのが、この言葉だったからです。「どんな人生がもっともよい人生なのか?」に対する「正解」ってあるじゃないか、と思いました。

だけど、つらつら考えてみると、「思い通りの人生」は人それぞれであって、そこには「正解」はないのではないか、ということに思い至りました。例えば、学校的には、”見目麗しく生まれ、一流の学校を入学・卒業して、一流の会社に入って希望どおりの仕事をして出世して、経済的にも不自由なく、恋人・結婚相手や子供に恵まれ、友人や親せきにも恵まれ・・・”というのが「正解」となっている感じはします。だけど、皆が皆そういう生活はできないし、希望しているとも限らない。例えば「自由」を何より愛する人であれば結婚しないし子供もいらない、という選択になりそうです。

だとすると、ちきりんさんの言っていることと「サイコロジー・オブ・マネー」の言っていることは矛盾することではなく、むしろ相互補完関係にあるのかなあ、という感想に落ち着きました。人が「思い通りの人生」を歩み幸福になるためには、個々人が正解のない問題(選択肢)に対して決断し、自分なりの「意見」を持つことが必要だという結論になると思います。

 

2.「反応」だけではダメな理由

(1)要約

ちきりんさんは、「反応」(独り言)は「意見」とは異なると説きます。

「意見」とは発言者の立ち位置(ポジション)を明確にするものでなければなりません。他者の意見の否定や質問は「反応」であり「意見」ではありません。

「議論」はお互いの「意見」をぶつけ合うことなので、「反応はするけど自分の意見はない人」は「議論する価値のない人」として扱われてしまいます。

SNSの発達により「反応」する人は増えているけど、「意見」をいう人は増えておらず、インフルエンサーになるのも意見を言える人だけ。

意見を言えるようになるためには、①面倒臭さや「間違っているかもしれない」という不安、②反論されることへの不安、③リスクをとりたくない気持ちを克服する必要があります。

自分の意見が本当に自分の頭で考えた意見かどうか(=偉い人に左右されていないか)が重要であり、それを確認するためには偉い人が意見を翻した場合にも不安にならないかを確認する必要があり、もし不安になるのなら、不安にならないレベルまで考えつくす必要があります。

(2)感想

ここも、私にとっては痛みを伴う指摘でした。「反応」は頭を使わなくていいので楽だし、「意見」を言って反論されたら対応が正直面倒臭い、という気持ちがあります。「意見」を言っても、文句をつけられたり、「理窟っぽい」と言われて無視されたりってこともあったし。

でも、ちきりんさんの言わんとすることは分かる気がします。自分の「意見」のない人と話をしても、話に発展性がなくて、つまらなくて、時間の無駄のように感じますから。自分に「意見」がなければ、先方に同じように思われてもしかたがないのでしょう。

色々な不安や面倒臭さを乗り越えて、「反応」ではなく「意見」を言うようにしたいな、と思いました。

 

3.SNS時代に「自分」を創る

(1)要約

SNSで知らない人たちから「承認」されるためには、積極的かつ意識的に、自分の内面情報(その人がどんな人なのか、よくわかる情報)を提供する必要があります。

また、ネット上の人格がリアル社会における人格と同じくらい重要になりつつあり、就職や転職をする際の判断材料になることも増えてきました。人事分野で人工知能(AI)が活用されることも増えてきました。これからの時代、ネット上で自分の考えを発信しない人の思考記録はゼロと判定され、学歴がないのと同じ位不利になるとちきりんさんは予想しています。

かといって発信を極度に怖がる必要はなく、ネット上の発信はリアル社会でのふるまいと同じと考えて、年相応のマナーを守れば自分のありのままを表現すればいいのではないか、と提言されています。また、発信のホームベースをひとつに決めてまとめたほうが有利とか、自分に合った表現方法(言葉でなくてもOK)で途中経過も含めてどんどん発信するとよい、というコツもまとめられています。

(2)感想

ここは、比較的気楽に読み進めることができました。これからも、犯罪や法律違反、その他のマナー違反にならないように気を付けつつ、気軽に自分なりの発信を続けていきたいと思います。

ちなみに、私は、最近、ツイッターでもブログでも書評を書くことが多くなっています。自分がどういう分野に関心を持っているか、どの本にどのような感想を持っているかを発信することにより、自分の人となりを知ってもらえるかな、と思っているからです。

ツイッターで紹介するときは、広く浅く気軽に宣伝したいときに使っています。町の本屋さんになった気分でやっています。ブログはもっと思い切り思い入れがあり、親族や友人に配るレベルで気に入っている愛読書に限って紹介しています。

 

4.生きづらさから脱却しよう

(1)要約

生きづらさ問題の背景にあるのは「学校的価値観」(例えば、「友達の多い明るい子」が正解など)や同調圧力。ワンパターンな生き方を全員に目指させると、様々な人が生きづらくなったり、卓越した才能を潰してしまうリスクがあります。

世の中には「答え合わせが必要な人」と「答え合わせなど必要としない人」がいます。「答え合わせが必要な人」がいつまでも他人の反応を気にすると、自己肯定感が持てず、また、「強い他者」に依存するリスクがあります。そうならないためには、自分が好きな生き方や分野を選びそれを選んだ理由について考えつくすこと、自分で自分を理解し肯定することが必要です。

そのためには、自分の意見を日記やメモなどにまとめて束にして分析し、他人に開示することが役に立ちます。

(2)感想

この章は、うなづきながら読みました。

私も、特に小学生のころは学校に馴染めず、劣等感が強かったです。学校の教師や親が望む「勉強のできるよい子」にはなれず、「いいお嫁さん」になるための女の子らしいことにもあまり興味が持てず、ぼーっと考えごとをしてはボソっと理窟っぽいことを言って、同級生にいじめられたりしてました。かなり世間知らずで、小学校4、5年生まで高校と大学の違いを知らなかったし、「TODAI」とは「灯台」のことだと思っていました。灯台守って社会的地位が高い割に楽な仕事なのかなとか思ってたので、そういう名前の学校があると知ったときには非常に驚きました・笑。

小学校3、4年生のころ、学校的価値観にずっと違和感を抱えたまま「自分なんか世の中にいないほうがいいのかしらん」とか2年ほどつらつらと考えていましたが、あらゆる方面からためつすがめつ考えてみても、自分がそう感じるということは自分はそういう人間(=学校的価値観が合わない人間)で、それを受け入れて生きるほかしょうがない、人様を傷つけるわけではないし自分としてはどうしようもないからこのまま生きる、という開き直りの境地に至りました。また、そのころ、弱い自分を助けに来てくれる「白馬の王子様」とか「ヒーロー」を心から望んで天に向かって祈ったりしてもみましたが、そういう人は全く現れなかったため、自分で自分を救う「ヒーロー」になることに決めたのもよく覚えています。

その頃にあこがれた職業は「魔法使い」や「魔女」。弱い自分でも呪文を唱えたり、薬草を煮たりすることで、人を救ってお金を稼げると思ったから。

大人になって職業を決めるときも、「魔法使い」や「魔女」に近い、言葉で人を助けられる仕事を選びました。

そういう意味では、小学生のとき悩んで考え抜いたことは、将来の自分を形作る上で非常に役に立っています。

 

5.リーダーシップの最初の一歩

(1)要約

本当の仲間ないし家族と認められるためには、ともに考え、議論して方針を決め、ともに進むことが必要。リーダーシップをとらない単なるフォロワーは本当の仲間と認めてもらえません。リーダーシップの第一歩は自分の意見を持つこと。日本の「専門外のことには意見をいうべきではない」という風潮だと問題がいつまでも解決されません。意見をいう人は失敗しても学びがあって成長し、必ず評価されるので、めげずに意見を発信し続けることが重要です。

(2)感想

ここも耳が痛かった。自分の興味がない分野はついつい「お前にまかせる。好きに決めていいよ」と言っちゃいがちだし、自分の意見で相手が迷惑するといけないなと思うと意見を言えなくなったりします。が、今後は勇気を出して、自分なりの意見を言ってみようと思います。

 

6.オリジナルの人生へ

(1)要約

人生で重要な選択を迫られたときにどう決断するか、習ったことがある人はいません。特に、日本は組織のトップだけが意見を持てばよく、その他大勢はそれに従ったほうがよいという価値観で運営されてきました。

しかし、バブル経済がはじけて以降、日本ではイノベーションの重要性が強調されるようになりました。イノベーションに必要なのは、「あいつはバカだ、そんなの無理」と言われても自分の意見を貫けるような強い意見をもつ人です。また、グローバル化が進む中、明示的に意見を表明しなければ相互理解は進みません。加えて、男性中心の年功序列社会からフラットな社会になったり、低成長で様々な人が困難に直面したり、選択肢が豊かな社会では、自分で意見を持つことの重要性が高まっています。加えて、AIが発達した社会では、調べればわかることよりも自分で考えつくした意見を持つことこそが人間の価値となります。

リアルな議論の場を自分の周りに作りだしましょう。誰かが主催している勉強会を探したり、講演会を聴きに行くことに加え、自分から意見を発信して、家族や同僚、同級生など身近なところから議論ができる仲間を拡げていきましょう。

(2)感想

私はこの結論の章を読んで、自分の意見をもっと表明してみたくなり、2月中旬に新たに開始される個別株の勉強会に参加を決めました。「自分はAという株に投資したいと考えている、その理由は~」という意見と理由(調査の結果)を複数の人の前でプレゼンできるからです。どの企業をいいと思っているかなんて完全なる個人の趣味だし、誰を傷つけるわけでもないし、ネタとしては丁度いいかなと思っているので、がんばってトライしてみようと思います。

 

7.練習編「意見」をもてるようになる4つのステップ

(1)要約

①レベルチェック(現状把握):問われた問題に賛成か反対かのポジションを取り、なぜそう思うか100字程度でまとめ、メモする。

②無理にでも意見を言い切る。

③自分で自分に突っ込む:意見への反論を書き出す、反論に反論する、反論の反論に反論する、最初とは反対のポジションをとって同じ作業をしてみる

言語化する

(2)感想

ここもレベルが高くて難しい箇所でした。特にステップ③。意見への反論までは思いついても、反論に反論、反論の反論に反論までいくと、かなり頭を使う作業が入ります。うう、くじけそう。

 

8.練習をやってみた

(1)問題(263頁より抜粋)

公的な年金制度は廃止すべきだ。自分の老後に必要なお金は、それぞれ自分で貯蓄すればよい。どうしてもお金が足りなくなった場合は、生活保護を申請すればよい。

(2)意見「反対」

公的な年金制度は廃止すべきでない。自分の老後に必要なお金は年金で用意すべきであり、各人の貯蓄にまかせられない。生活保護に一本化すべきではない。  

(3)反論(=賛成)

①老後のお金の準備については個人の自由を尊重し、個人にまかせるべき。

②年金制度と生活保護の二つの制度を用意するとシステムの構築や人件費などのコストが2倍かかりお金と手間が無駄

少子高齢化が進む社会でこのまま年金制度を維持すると、世代間の不平等が進むばかりである

(4)反論に反論(=反対)

①個人にまかせてしまうと、マネーリテラシーの差が貧富の差につながってしまう。

②年金制度と生活保護については既存のシステムがそれぞれ構築され、人員も割り振られている。今から生活保護に一本化したら、却って変更にコストや手間がかかる。

生活保護に一本化すると、生活に困窮した多くの高齢者が生活保護になだれこむだけであり、減りゆく労働人口が増えゆく高齢者の生活を支えるという構図に変わりはない。

(5)反論の反論に反論(=賛成)

①マネーリテラシーに関し、学校や職場で教育を必須のものとすれば、貧富の格差につながるほどの差は生まれない。

②変更にかかるコストはわずか。それよりも現状を維持し、年金と生活保護の二つのシステムにコストと人件費をかけるほうが高くつく(→このへんはたぶん金額的なシミュレーションをすれば解決するような問題に感じる)。

③「生活保護」の烙印を押されたくないため、受給をためらう高齢者は多くいるはずなので、生活保護に一本化したほうが高齢者の面倒を見る費用がトータルでは安く済むはず。

 

9.まとめ

以上のとおり、「自分の意見で生きていこう」の書評はかなりの長文となりました。鬼軍曹にピシピシ愛のムチを振るわれながら、フルマラソンを走りぬいたような疲労感に包まれています。もうだめ、へとへとー。

ちきりんさんは、紙の本の著作はこれが最後となると宣言されていますが、本当に悲しい。紙の本の装丁やイラスト、帯がポップで人目を惹くデザインでとても素敵だから買い集めてずっと手元に置いていたのに。これからの本のデザインもとても楽しみにしていたのに。文章はここまで長くなくてよいので、何か別の形でまた紙の本の世界に戻ってきて頂きたいです。意見の撤回はいつでもwelcomeです!

 

では、また。