旅行記(3)-仙崎・長門湯本→下関
皆様、あけましておめでとうございます。にこいちです。
今年も宜しくお願いいたします。
だいぶ間が空きましたが、旅行記の続きを書きます。
【3日目:仙崎・長門湯本→下関】
朝起きて、airbnbのオーナーさんとお話。元は鉄道マンだったがご両親の介護のため早期リタイアし、家を購入。介護がひと段落ついたところで購入した家でairbnbを始めたとのこと。絵を描いたり、ピアノやギターを独習したり、とお一人の生活を楽しまれているご様子。ギターを何曲か聞かせて頂いたところで別れを告げて、車で出発。
またもや、うどん屋どんどんにお邪魔し、モーニングうどんを堪能。
その後、車で移動。萩の街道沿いには、きちんと選定された松がいっぱい植わっています。植木屋さんが活躍しそうな土地柄。
木下斉さんお勧めの、仙崎の金子みすず記念館に行きました。
金子みすずは、大正末期から昭和初期にかけて活躍した詩人(1903年生)。
仙崎はクジラ漁・鰯漁で栄えていた漁港で、みすずは町で唯一の書店の娘さんでした。兄と弟がいますが、弟は幼少時に跡取りとして親戚(叔父)の家に預けられてしまいます。
成績優秀で女学校に通っていたみすずでしたが、その頃から弟が仙崎に遊びに来るようになり、兄・みすず・弟で文学談義を楽しみました。そして、弟はみすずを(姉と知らずに)慕うようになってしまいます。みすずは苦しんだあげく、叔父の店の番頭格だった男性と結婚することを決めます。弟は結婚に反対し涙の談判をしに行きますが、みすずに真実を告げられ、薄々そうではないかと思っていた真実(=二人が実の姉弟であること)を知ることに。弟はショックを受けたのでしょう。そのころの日記(注:手紙だったかも。記憶が定かでなくて申し訳ありません)に、”僕はみすずと同じ位教養があり、しかしみすずよりも器量良しの女性と結婚したい”という悔し紛れの文章を書き残しています。
弟は脚本家になる夢を実現するため上京します。他方、みすずは下関に行き、夫の仕事を手伝いますが、この夫が女癖が悪く、子供を1人産んだあとも放蕩が止まず、みすずは苦しみます。しかもこの夫は、みすずの詩作や他の詩人との交流を禁じてしまいます。みすずは夫と離婚することにしましたが、夫は当初、子の親権をみすずに渡すと話していたはずだったのに約束を破り、自分のものにしようと強行します。みすずは絶望し、子は自分の母が育てることを懇願する遺書を残して自殺します。
みすずの残した詩作は小さなノート3冊分で、弟はそのノートを大切に保管していました。矢崎節夫氏(詩人、金子みすず記念館の館長)がみすずの遺稿を探していたところ、弟が保管していることを発見し、1984年に広く出版されることになりました。
この弟は、上山雅輔(かみやま がすけ)さんという劇作家です。妻と一緒に東京都杉並区で劇団若草を立ち上げています。矢崎節夫氏とJR西荻窪駅の近くにある有名ケーキ店「こけし屋」で会って話をした、という記録が残っています。上山さんは杉並区善福寺のお住まいで亡くなりました。
金子みすず記念館には、以上のようなみすずの歴史に関する資料、手紙などが数多くあるほか、みすずの詩も様々な形で展示されています。美術的な要素を含みますので、これは是非現地でご覧ください。
なお、個人的に面白かったのは、みすずの女学生時代のころに使われていた教科書が展示されていたこと。正確な題は忘れましたが、家計簿の付け方の授業があったようで、そのような題の教科書がありました。また、英語と裁縫が選択授業だったようです。女学校はかなり実学寄りの授業をしていたのですね。
2時間位かけてじっくり見学したあと、車で長門湯本へ移動。木下斉さんお勧めの温泉「温湯(おんとう)」(公共浴場)に行きました。温湯はできたばかりでとてもきれいな温泉。中の脱衣所などもグレーを基調としたクールな造りになっています。
温泉を堪能したあと、萩の喫茶店「蔵」のマスターに勧められた角島大橋を見に行くことに。海の中を島まで渡る橋を走っていると、海の上を飛んでいる気分でとても爽快でした。若い人のデートスポットになっている様子でした。
すきっ腹を抱えて下関に移動。途中、貼ってあった政治家のポスターは全て元首相の安倍晋三氏。他にも山口県出身の政治家はたくさんいらっしゃるでしょうに、安倍氏の絶大なる人気を感じました。
午後5時ころに下関に到着。レンタカーを返して、宿で一休みしてから、ふぐを食べに行きました。これも木下斉さんお勧めの「春帆楼」。本家はめっちゃ高いので、下関大丸店へ。「期間限定白子付ふく会席」(要予約)というのを頼んでみました。1人前6600円(税込)。刺身、鍋など色々おいしかったですが、最大のお目当ての白子はあっさりしたふわふわの味でやや拍子抜け。百貨店が午後8時閉店のためか、午後7時30分ころになるとデッキブラシで床をこする音が店内に響き渡っていたりして、あまり寛げなかったのが残念。こちらに行かれる際には早めの入店がお勧めです。
以上で、旅行記3日目はおしまい。今年はもう少し連続投稿できるようがんばります。