年金問題について-その3 少子高齢化対策

こんにちは、にこいちです。

今日は、年金問題に関する少子高齢化対策について考えてみたいと思います。

 

1.田村正之さんによる「年金」の説明について

 田村正之さんは、その著書の中で、

 ・年金とは「『老齢のリスク=長生きで老後資金が途絶えてしまうこと』『障害のリスク=病気やケガで働けなくなること』『死亡のリスク=一家の大黒柱が亡くなったときに遺族の生活を守ること』という人生の3大リスクから生活を守るための仕組み」(「人生100年時代の年金戦略」27頁)

・「保険では、『事故』が起きたときに保険金が支払われます。年金における事故の1番目は『長生き』です。長生きが事故というのも変な話ですが、老後資金が枯渇しかねないという意味では事故といえます(同29頁)。

・「『何歳まで生きるかわからない』ことは、老後資金を考えるうえではリスクでもあります。」(同29頁)

と説明しています。

 

2.長生きは「事故」か?

 「事故」とは「思いがけず生じた悪い出来事。物事の正常な活動・進行を妨げる不慮の事態」(小学館精選版日本国語大辞典)をいいます。

 病気や怪我、死亡は偶然の事情に左右されるので「事故」に該当することは分かるし納得しています。

 しかし、「長生きで老後資金が枯渇すること」は「事故」なのでしょうか?

 人が年をとって高齢者となることは自然の摂理であり、予測可能な事柄です。

 また、年齢ごとの平均余命は公表されており、平均余命まで相当程度の確率で長生きすることもある程度予測しうる事柄です。

 老後資金を持たせることも、ある程度事前にコントロール可能な事柄です。例えば、退職金や個人の蓄えを浪費すれば老後資金は早くに枯渇しますが、節約すれば枯渇しなくて済むように対応することができます。

 そもそも「年金」は、国民を「老後資金が枯渇する」ほどに困窮してしまわないよう保護すればよいのであり、それを超えて高齢者の余裕のある生活まで保障する必要はないのではないでしょうか。

 加えて、「年金」が賦課(仕送り)方式だというのであれば、そのときどきの仕送りをする側(主に若者)の収入が減るリスクは「年金保険」を受け取る側(主に高齢者)もリスクを負担するのが公平の観点から妥当なのではないでしょうか。既に年金の受給を開始しているからといって、若者の収入減リスクを高齢者が一方的に負担しないのは不公平であるように思います。

 また、高齢者だからといって、常に「老後資金が枯渇する」とは限らないでしょう。高額の不動産収入などを得る人もおり、そういう人を「年金」で保護する必要はあるのでしょうか。

 なお、平均余命を超えての長生きは、事前の予測を超えるので、これは「年金」により保護されるべき事柄(事故)と考えていいのではないかと思います。

 

3.結論(少子高齢化対策)

 以上のように考えると、少子高齢化による年金問題に対処するには、平均余命と、若者や高齢者の収入状況とを考慮することが鍵になるように思われてきました。さしあたり思いつく対策は、例えば以下のようなものです。

①年金の支給開始時期をより遅らせるか、または、平均余命までは減額した金額としその後の年齢に応じて増額し一定の水準まで引き上げるようにする。

②そのときどきの若者の収入に応じて高齢者の年金受給額を増減する。

③年金以外の収入の多寡により高齢者の年金額を増減する。

 

 それぞれ減額される人がいて異論も多いところとは思いますが、若い世代にのみ負担を強いる制度は持続可能性がないと思います。

 

 それでは、また!