お勧め本「新版 一生モノの勉強法 理系的『知的生産戦略』のすべて」鎌田浩毅著

まだまだコロナ禍は続いています。世界中で、感染者数は454万人を超え、死者も30万人を超えましたが、皆様、ご無事でお過ごしでしょうか?にこいちです。

 

先日、行きつけの本屋さんで平積みになっていた「新版 一生モノの勉強法 理系的『知的生産戦略』のすべて」鎌田浩毅著(ちくま文庫、本体価格800円)を読んでみたところ、ものすごくいい本だったので、今日はそのご紹介をしようと思います。

 

表紙と帯はこんな感じ。

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「新版 一生モノの勉強法 理系的『知的生産戦略』のすべて」の表紙&帯

著者は、東大理学部→通産省→京大大学院→京大教授(理学博士)というエリート中のエリート。ご専門は火山学・地球科学だそうで、2030~40年ころに発生が予想される「南海トラフ巨大地震」の研究などをされているようです。しかし、そのご興味の幅は広く、「論語」を始めとした中国の古典文学であったり、40代でマーケティングなどを学ばれたとのこと。

 

こういう背景の先生だから、さぞかし難しい文章なんだろうなと覚悟しましたが、全然そんなことありません。文章は平易で明快。しかも、写真・図や表が豊富で分かりやすい。目次も大見出しと中見出しに分かれているし、索引も充実している。読みやすい本のお手本となるような本です。

 

ターゲットとする読者層も幅広い。試験のヤマの当て方や本の読み方など中学生、高校生でも役立つのだろうなという部分もあれば、「ビジネス書は全部読み通さなくてもよい」など、ビジネスマンに役立つような内容も含まれています。

 

とりわけこの本が素晴らしいところは、勉強は戦略的にし、「好きな勉強」にこだわりすぎるな、無理だと思った勉強は捨ててよい、と明言されているところです。

 

勉強は真面目にやりましょうとか、新聞は隅々まで読みましょうとか、真面目さ&ひたすら努力をすることを強調する本は多いのですけど、この本は手帳や資料の整理法や勉強をする際の力の入れどころ・手の抜きどころのノウハウを写真などで具体的に見せてくださるところが秀逸です。いらないところは手を抜け、と言われても、どこを手を抜けばいいのか分からないんだよな~、と悶々と悩んでいらっしゃる方(私も!)の目から鱗がポロポロ落ちる内容です。

 

例えば、「線を引く、書き込む・・・・・・本は文房具として使い倒せ」、「新聞は『見出し』と『出だしの5行』で十分」など、新聞界・出版界の人にはあまりウケないだろうな、というノウハウが開示されています。

 

また、例えば、先生の手帳の中身は75頁の写真で紹介されてますし、机のまわりに常備している勉強道具一式は119頁で紹介されています。ノート(126頁)やクリアファイルの使い方(137頁)も写真で紹介されています。これらの写真は必見です。写真を見るためにこの本を買っても惜しくないです。

 

学校や会社でも、ここまで懇切丁寧に勉強や情報の整理の仕方を教えてくれるところはありません。

 

勉強法や整理法の本としては、梅棹忠夫先生の「知的生産の技術」(岩波新書)とか、野口悠紀雄先生の「『超』整理法」などが有名でしたし私も感銘を受けましたが、鎌田先生の「一生モノの勉強法」はこれらの本を凌駕する内容でした。

 

学生、ビジネスマン、リタイアラー、広く何らかの勉強をしている方に広くお勧めします。是非、今年の1冊にしてください。