投資信託の仕組みについて

「内容が分からないものに投資してはいけない」と、よく言われますが、いまいち投資信託の仕組みで分からない部分があり、ずっと気になっていました。

 

先日、つみっぷ女子部(2018年2月15日)に参加させて頂き、山崎元さんにていねいに教えて頂いたのですが、それでもまだ分からない部分があったので、資料を呼んだり、関係各所(金融庁投資信託協会日本投資者保護基金)に電話をかけて聞いた内容を皆様にご紹介致します。

 

投資信託には、3人のプレイヤーがいます。それは、販売会社、投資会社、信託銀行です。以下、3人のプレイヤー毎に役割・Q&Aを説明致します。

 

■販売会社(証券会社、銀行など) の役割■
・販売会社は、「投資家ごとの口座を管理し、投資信託の販売や換金、分配金・償還金の支払いなどを行います。また、投資家が資産運用する際の質問に答えたり、相談にのったりもします。」(一般社団法人投資信託協会

https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/about/scheme/

Q.販売会社は投資家のお金を集めて信託銀行に渡しているのですか?

A.はい、そうです。投資家が投資信託を購入すると、そのお金は、販売会社と信託銀行間の信託契約に基づき、信託銀行に渡されます。お金は信託銀行のファンドの信託財産を管理する口座に入ります。お金がどこにいくら入ったかという情報は、運用会社に連絡されます。

Q.販売会社は、どういう法令に基づいて活動を行っていますか?

A.金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)。投資信託を販売するためには、金融庁に登録し、また、これらの法令に則った販売をしなければなりません。

Q.誰が販売会社を監督・監視しているのですか?

A.金融庁と証券等取引監視委員会が監督・監視しています。金融庁は、販売会社の登録を判断し、また、販売会社に対する情報の収集などをしています。証券等取引監視委員会は、金融商品取引業者等の業務や財産状況等の検査を行い、問題点が認められた場合には、問題点を指摘し、改善を求めるほか、重大な法令違反行為等が認められた場合には、金融庁長官等に対して行政処分を求める勧告等を行います。

Q.販売会社が破たんしたら、どうなりますか?

A.顧客のお金は、販売会社を経由して、信託銀行が信託財産として管理します。この販売会社から信託銀行への財産の移転は、顧客の財産の拠出とほぼ同時に行われるため、販売会社が破たんしても、信託財産に影響はないような制度設計となっています。

販売会社は、顧客の金銭や株式、投資信託などの有価証券を、会社自身が持っている金銭・有価証券などの資産とは区分して管理することが義務付けられています(「分別管理」と呼びます。詳しい説明は、

http://www.jsda.or.jp/sonaeru/bunbetsu/files/bunbetukanri20110712.pdf

)。分別管理がきちんと行われている場合は、販売会社が破たんしても、顧客の資産に影響はなく、顧客は破たんした証券会社から投資信託の返還を受けることができます。販売会社のうち、証券会社が分別管理の義務に違反し、顧客の資産を円滑に返還できない場合は、日本投資者保護基金が、顧客の返還を受けられなくなった金銭と有価証券の価値(時価)と合計して、1人当たり1,000万円を上限に補償してくれます。投資家1人が例えば3つの証券会社にそれぞれ1,000万円以上を預けており、その証券会社が3つとも破たんした場合には、合計で3,000万円まで補償されることになります。

なお、販売会社が銀行である場合で、当該銀行が分別管理を守っていない場合、投資者保護基金の適用はなく、投資家は保護されないこととなります(http://jipf.or.jp/qa/index.html)。この点は、あまり一般に説明されていないようです。ご注意を。

 

  • ■運用会社の役割■
  • ・運用会社は、「投資信託を作り(設定)、投資家から集めた資金(信託財産)を運用します。運用会社では、経済・金融情勢などに関するさまざまなデータを収集・分析し、専門家がノウハウを駆使しながら、信託財産をどの資産にどうやって投資するのかを考え、信託銀行に対して運用を指図します。」(一般社団法人投資信託協会
  • Q.運用会社は、どういう法令に基づいて活動を行っていますか?

    A.金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律(投信法)。投資信託を販売するためには、金融庁に登録し、また、これらの法令に則った運用をしなければなりません。運用会社は、投資信託約款・運用方針を作って金融庁に届け出ます。また、同じようなものを投資家が閲覧可能な目論見書にも入れています。

    Q.誰が運用会社を監督・監視しているのですか?

  • A.金融庁と証券等取引監視委員会が監督・監視しています。(販売会社と同様なので、詳細は割愛します。)

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    Q.運用会社が破たんしたらどうなりますか?

  • A.運用会社は運用の指図を行うだけで、信託財産の保管・管理は信託銀行が行うため、運用会社が破たんしたとしても、顧客の財産に直接の影響はありません。但し、運用会社が運用していた投資信託は、他の運用会社が運用を引き継ぐか、繰り上げ償還されることになります。

■信託銀行の役割■
「信託銀行は運用会社からの運用の指図に従って、株式や債券などの売買や管理を行います。なお信託銀行では、投資家から集めた信託財産を自社の財産とは区別して保管・管理(分別管理)してい」ます(一般社団法人投資信託協会)。金庫・倉庫のような役割などとも説明されています。

Q.誰が信託銀行を監督・監視しているのですか?

A.金融庁が信託銀行を監督・監視しています。

Q.信託銀行は、どういう法令に基づいて活動を行っていますか?

A.銀行法。信託法。信託業法など。

Q.信託銀行が破たんしたらどうなりますか?

A.信託財産は信託銀行自身の財産とは区別して管理することが法律で義務づけられているため、信託銀行が破たんしたとしても、信託財産に影響はありません。但し、他の信託銀行に信託財産が移管されなければ、破たん時の基準価格で解約されることになります。もし、信託銀行がこの区別して管理する義務の違反をし、それにより信託財産に損失が生じた場合は、信託銀行が損失のてん補または原状回復の責任を負うことになると思われます。

www.shintaku-kyokai.or.jp

 

以上、今日の調査のご報告でした。電話での聞き取りも混じっていますので、間違い等あるかもしれません。その際は、具体的にご指摘・ご修正案をいただけるとありがたいです。

 

では、また!